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二大国戦記

聖暦777年、光と闇の双方が対立するアインベルグ大陸、その大陸には、エスプランドル聖王国とオスクリタ大帝国と言う2つの国があった、この2つの国はかつては仲が良かったが、オスクリタ大帝国軍の皇帝が変わり、関係は悪化、そして遂にオスクリタ大帝国軍はエスプランドル聖王国軍に対し、宣戦布告。両国は戦争状態に突入し、建国以来の大戦争へと突入した。

そんなある日、オスクリタ大帝国軍の軍勢がエスプランドル聖王国へ侵攻開始したとの情報が入った。国王であるアレクサンダー・エスプランドルは、エスプランドル騎士団の若きリーダーであるアエリス・クリステナにオスクリタ大帝国軍を迎え撃つよう指令を下した。そして、アエリスは、変わり者の多いエスプランドル騎士団を率い、オスクリタ大帝国軍のいるエスプランドル草原へと向かった。

アエリス「これからオスクリタ大帝国軍との戦争があるけど、みんなで生きて帰ろう!」
セアル「そうね、頑張りましょう」
カリスト「難しいかもしれないが、最善は尽くす」
テオドール「みんなで生きて帰れたら、これ以上の幸せはないよね」
エルフリーデ「みんな、頑張りましょう!」
エルマー「そうだね、姉さん」

その後、エスプランドル聖王国軍はエスプランドル草原に到着した。そこには既に、オスクリタ大帝国軍の大群が待ち受けていた。軍を指揮するのは、ヴァーラ・リボルーナ、アエリスと同じく、オスクリタ大帝国軍の若きリーダーである。ヴァーラはエスプランドル聖王国軍に対し、ある警告をした。

ヴァーラ「エスプランドル聖王国軍に伝える、貴様らでは我々オスクリタ大帝国軍の精鋭には敵わない、今すぐ撤退する事を勧める」
イェルハルド「流石ヴァーラ様、素晴らしいお言葉です」
シーグリッド「味方だけではなく、敵の心配をする、ヴァーラ様は私達の頼れるリーダーね」

事実、エスプランドル聖王国軍の戦力はオスクリタ大帝国軍の半分以下、しかし、エスプランドル聖王国軍は諦める訳にはいかなかった。

アエリス「悪いけど、その要望は飲めないわ」
カリスト「俺達は王国を守る事が仕事なんでな」
セアル「そう言う事よ、残念だったわね」

すると、諦めの悪いエスプランドル聖王国軍に対し、呆れ果てたヴァーラは、部下である指揮官に総攻撃を命じた。

ヴァーラ「ジークベルト、ヴィルヘルム、エーディット、ローザリンデ、やれ!」
ジークベルト「了解! 任せてくれや!」
ヴィルヘルム「了解、敵を殲滅する」
エーディット「…了解…」
ローザリンデ「了解! 後はあたし達に任せな!」

ヴァーラの部下の指揮官4人は凄腕の指揮官であり、オスクリタ大帝国軍四天王とも呼ばれている。ジークベルトが斧、ヴィルヘルムが槍、エーディットが弓、ローザリンデが剣を使い、それぞれが高い戦闘能力を持っている。4人は兵を率い、エスプランドル聖王国軍に攻撃を仕掛けた。

アエリス「来るよ! みんな、応戦して!!」

エスプランドル聖王国軍は迫る敵に応戦した。

アーロン「よし! 俺はあの指揮官をやる!」

元山賊のアーロンはジークベルトに攻撃を仕掛けた。

ジークベルト「甘いんだよ! おっさん!!」

ジークベルトは巨大な斧で、アーロンの胴体を両断した。胴体を切断されたアーロンは、即死してしまった。続けてヴィルヘルムがエスプランドル兵を蹴散らしつつ、ジークベルトと共にアエリス目掛けて突っ込んできた。

ヴィルヘルム「敵の指揮官を殺ればすぐ決着が付く」
ジークベルト「そう言う事! やりましょうぜ!!」

アエリス「敵が来る!」
カリスト「ここは俺に任せて下がれ!」

エスプランドル聖王国軍一の剣士であるカリストは、細身の剣を片手に2人の指揮官の前に立った。

ジークベルト「邪魔だゴミ!!」

ジークベルトが斧を振り上げたその瞬間、カリストは細身の剣でジークベルトの喉を貫いた。

ジークベルト「がはッ…!!」

喉を貫かれたジークベルトは地面に倒れ込み、息絶えた。

ヴィルヘルム「ッ…! よくもジークベルトを…!」

ヴィルヘルムは槍を構え、カリストに突進した。

カリスト「くっ…! 相手は槍か…不利だな…!」
ベルタ「ここはあたしに任せて! あいつはあたしがぶっ潰す!」

カリストに変わり、魔術師のベルタが戦線に赴いた。

ヴィルヘルム「覚悟…!」

ヴィルヘルムの槍の一撃はベルタには当たらず、ベルタは間一髪回避し、炎魔法のファイアを唱えた。ヴィルヘルムは炎で体を焼かれてもなお、ベルタに攻撃を仕掛け、ベルタの体を貫き、命を奪った。

ヴィルヘルム「フ…馬鹿め…」

そのヴィルヘルムを狙っていた弓兵のソフィアは、今がチャンスとばかりに弓を放った。放たれた弓はヴィルヘルムの脳天を貫通し、ヴィルヘルムを倒す事に成功した。

ソフィア「やった!」

その時、ソフィア目掛けて弓が飛んできた。オスクリタ大帝国軍のエーディットのものだ。ソフィアは間一髪で弓を回避したが、その弓は左肩をかすめ、傷を与えた。

ソフィア「ッ…! あいつ、中々やるよ」

エーディットは丘の上から弓を放っていた。丘の上からソフィアのいる位置はかなりの距離で、かなり動体視力がいいのであろう。そのエーディットのいる場所に向かったのは、騎士のテオドールと盗賊のカリーナであった。

テオドール「てやぁぁぁッ!!」

テオドールはエーディットに剣を振り下ろしたが、エーディットは身軽な動きでそれを回避した。

カリーナ「はぁぁッ!!」

続けてカリーナがナイフで攻撃したが、エーディットは矢を取り出し、カリーナの胸目掛けて矢を突き刺した。

カリーナ「こんな…事って…」

胸に矢を突き刺されたカリーナは命を落とした。

テオドール「よくもカリーナをぉ!!」

怒りに燃えるテオドールの振った剣の一撃は、エーディットの体を斬り裂いた。

エーディット「私も…ここまでか…」

体を斬られたエーディットは口から血を吐き、地面に倒れ込んでその生涯を終えた。

一方、アエリスの近くには四天王最後の1人であるローザリンデが兵士を蹴散らしながら向かっていた。

マルティン「アエリス様! 下がってください!」
アルベルト「ここは俺達に任せてくれや」
ローザリンデ「邪魔よ! どきな!!」

ローザリンデは剣を振り、騎士のマルティンと傭兵のアルベルトを斬り裂いた。斬り裂かれた2人は地面に倒れ込み、力尽きた。

アエリス「このままじゃ全滅してしまう…」
エルフリーデ「アエリス様はやらせない!」
エルマー「僕達がやるしかない!」
ジェズアルド「アエリス様はお下がりください」

エルフリーデとエルマーの剣士姉弟と、老剣士であるジェズアルドの剣士3人は、オスクリタ大帝国軍の剣豪であるローザリンデと対峙した。

ローザリンデ「フン、こんなガキとジジイ、あたし1人で十分よ!」

そう言ってローザリンデは3人に攻撃を仕掛けた。

3人は攻撃をぎりぎり回避し、同時攻撃した。だが、ローザリンデは軽々回避し、攻撃してきた。その攻撃をジェズアルドは剣で受け止め、押し返した。あまりに強い力で押し返されたローザリンデは地面に倒れ、その隙にエルフリーデとエルマーが剣を胸に突き刺した。

ローザリンデ「あたしが…こんな…虫ケラにぃ…」

そう言い残し、ローザリンデは口から血を吐き、息絶えた。こうして、オスクリタ大帝国軍の四天王は全滅したのである。

イェルハルド「ヴァーラ様、四天王が全滅しました」
ヴァーラ「そんな…四天王が…」
シーグリッド「エスプランドル騎士団…侮れないみたいですね」

その時、ヴァーラ達の後方からオスクリタ大帝国軍の援軍が到着した。援軍の指揮をしていたのは、皇子のヴェンデルと、皇女のゲオルギーネ、部下のアルレットであった。

ヴァーラ「ヴェンデル様! それに、ゲオルギーネ様! 何故ここに!?」
ヴェンデル「お父様の命令でね、僕達まで駆り出されたのさ」
ゲオルギーネ「そう言う事、私はこんな事嫌だったけどね」
ヴァーラ「ジギスヴァルド様が…」
ヴェンデル「そうだよ、だから、一緒にエスプランドルの犬共を皆殺しにしよう!」
ヴァーラ「了解です!」

エスプランドル聖王国軍とオスクリタ大帝国軍との戦いは続く、現在はエスプランドル聖王国軍が有利ではあるが、オスクリタ大帝国軍は遂に皇族を駆り出してきた。皇族が来た事で士気の上がったオスクリタ大帝国軍は、一気にエスプランドル聖王国軍に攻撃を仕掛けた。

怪我をしたエスプランドル騎士団のメンバーを治癒するのは、治癒者のリリアーヌと神官のシャルロッテだ。2人は怪我をした兵士に回復魔法のヒールを唱え、怪我を治癒させていた。

リリアーヌ「はい、もう大丈夫ですよー」
エーリカ「あ…ありがとうございます…」
シャルロッテ「しかし…こうも攻撃が激しいと困っちゃうわね…」

そんな彼女たちを狙っていたのは、オスクリタ大帝国軍の皇子ヴェンデルである。ヴェンデルは弱った獲物を沢山仕留めようとしているのである。

ヴェンデル「よし、僕はあの弱そうな奴らを皆殺しにするよ」
ゲオルギーネ「じゃあ、私は一気に指揮官を潰すわ」
アルレット「では、私は他の雑兵を始末します」

そして、3人はそれぞれの獲物を求めて馬を走らせ、ヴェンデルは怪我をしたエスプランドル兵に狙いを定めた。

リリアーヌ「あ! あれは…!」
ヴェンデル「そぉら死ねぇぇぇッ!!」

ェンデルは剣を振り、リリアーヌを斬殺した。

リリアーヌ「アエリス様…すみませ…ん…」

体を斬られたリリアーヌは地面に倒れ、命を落とした。

エーリカ「キャアアアッ!!」
シャルロッテ「エーリカちゃん! 逃げ…!」

ヴェンデルは剣を振り、シャルロッテが言い終える前にシャルロッテの首を刎ね、一瞬にして命を奪った。

ヴェンデル「ハハハ! 弱い獲物をいたぶるのは気持ちがいいなぁ!!」
エーリカ「たっ…助けてぇぇぇッ!!」

ヴェンデルのあまりに行き過ぎた行動に、彼の部下であるレギーナとリーズは悩んでいた。

レギーナ「ねえ…ヴェンデル様、流石にやり過ぎじゃない?」
リーズ「そうね…私達が付くべきはこっちじゃないのかも…」

すると、レギーナとリーズは彼の部下の兵士を攻撃し始めた。

ヴェンデル「貴様ら! 何のつもりだ!」
リーズ「私達が付くべき主は、あなたじゃない!」
レギーナ「そうそう! 早い話が、裏切りってワケ!」
ヴェンデル「くそぉぉぉッ! 貴様らも殺してやる!!」

その時、ヴェンデルが降った剣を受け止めたエスプランドル兵がいた、槍兵のアビゲイルである。

アビゲイル「彼女たちはやらせないわ!」
ヴェンデル「このアマァァァッ!!」

怒り狂ったヴェンデルは剣を振り回したが、そんな太刀筋では相手を殺す事はできず、一気に懐に飛び込んだレギーナのナイフで首を斬り裂かれてしまった。

ヴェンデル「お父…様…」

ヴェンデルは落馬し、命を落とした。

レギーナ「やれやれ…あたしの主がこんなクズとはね…」

リーズ「! 待って! この人…」

ヴェンデルの死体は見る見るうちに姿を変えていき、禍々しい悪魔のような姿に変貌した。

アビゲイル「うっ…何これ…?」
エーリカ「まさか…! 皇帝の姿をした魔物に帝国を乗っ取られていたの!?」
レギーナ「そう言う事らしいわね…」
リーズ「つまり、この戦争は魔族の侵略戦争って事なのね…」
アビゲイル「こんな事って…」

その頃、アルレットはエスプランドル騎士団と交戦していた。槍を使いこなし、セアルやカリストを攻撃したが、彼らは身軽な動きで攻撃を回避していた。

アルレット「中々やりますね」
セアル「やられる訳にはいかないからね」

エルフリーデとエルマーは後方からアルレットを攻撃しようとしたが、アルレットは振り向き、槍で2人を薙ぎ払った。

エルフリーデ「キャアッ!」
エルマー「あの女の人、かなりのやり手だよ!」
ジェズアルド「ここはわしに任せてくれ!」
エルマー「じっちゃん!」
エルフリーデ「歳なんだから無理しないでね」
ジェズアルド「まだまだ若いもんに負けはせん!」

そう言ってジェズアルドは剣を取り、立ち向かった。アルレットとジェズアルドは激しくぶつかり合い、まさか老兵がここまでやるとは思わず、アルレットは驚きを隠せずにいた。

ジェズアルド「一気に決めますぞ! せいっ!」

ジェズアルドは剣を振り、アルレットの槍を斬り落とした。

アルレット「馬鹿なっ!!」
ジェズアルド「これで終わりだ!」

ジェズアルドは剣を振り、アルレットの体を斬り裂いた。

アルレット「ジギスヴァルド様…申し訳…ございません…」

そう言い残し、アルレットは地面に倒れ、命を落とした。

カリスト「爺さん、中々やるじゃないか」
ジェズアルド「だから言ったろう、まだまだ若いもんには負けんとな」

一方、皇女のゲオルギーネは、指揮官であるアエリスと交戦していた。

ゲオルギーネ「悪いけど、死んでもらうわよ!」
アエリス「くっ! 強い…!!」

ゲオルギーネの太刀筋は素早く、アエリスは防戦一方であった。

ステファン「アエリス様! お下がりください!!」

斧兵のステファンはアエリスの援護に回ろうとしたが、ゲオルギーネの剣によって一撃で斬殺された。

アエリス「ステファンさん!」
ゲオルギーネ「雑魚の心配してる場合!?」

ゲオルギーネの剣はアエリスの剣を弾き飛ばした。

アエリス「しまっ…!!」
ゲオルギーネ「これで終わりよ!!」

ゲオルギーネが剣を振り下ろそうとしたその時、一本の矢がゲオルギーネの腕を貫いた。そのあまりの激痛に、ゲオルギーネは剣を落とした。

ゲオルギーネ「キャアアアッ! 痛いッ! 痛いぃッ!!」
ソフィア「何とか間に合ったみたいね」
アエリス「ソフィアちゃん! ありがとう!」

アエリスは剣を拾い、ゲオルギーネの胸を剣で突き刺した。

ゲオルギーネ「がはッ! こん…な…」

胸を剣で貫かれたゲオルギーネは落馬し、そのまま息絶えた。

アエリス「ふぅ…危なかった…」
ソフィア「待って、この人…」

ゲオルギーネの死体は見る見るうちに姿を変えていき、禍々しい悪魔の様な姿に変貌した。

アエリス「ちょっと待って、この人って、オスクリタ大帝国軍の皇女様よね?」
ソフィア「そうですよ、でも…」

しばらくすると、オスクリタ大帝国軍のリーダーであるヴァーラがやって来た

ヴァーラ「アエリス! 今日こそ終わりだな!」
アエリス「待って! ヴァーラさん! これを見て!」

ヴァーラは変貌したゲオルギーネの死体を見た。その死体を見たヴァーラは、恐ろしい物を見た表情をして驚いていた。同じく、部下のイェルハルドとシーグリッドも驚いており、彼女たちはこの戦いが魔族によって仕組まれていた事に気付いた。

イェルハルド「ヴァーラ様、これは…」
ヴァーラ「ああ、どうやら本物のジギスヴァルド様は既に…」
シーグリッド「じゃあ、今のジギスヴァルド様は、魔族なんですね?」
ヴァーラ「そう言う事だ、魔族め、舐めた真似をしてくれる…」

その後、呼吸を整えたヴァーラは、アエリスにある提案をした。

ヴァーラ「アエリス! この戦いはここで終わりにするぞ!」
アエリス「え? じゃあ…」
ヴァーラ「ああ! 我々の本当の敵は、ジギスヴァルドだ!」

本当の敵を見つけたアエリスとヴァーラ、エスプランドル聖王国軍とオスクリタ大帝国軍は同盟を結び、真の敵であるジギスヴァルドとの戦いに臨む。

エスプランドル聖王国軍とオスクリタ大帝国軍との戦争は、魔族が成り代わったジギスヴァルド皇帝が仕組んだものであり、真の敵を知った両軍は、ジギスヴァルド討伐の為、オスクリタ大帝国へと向かった。

ジギスヴァルドはかつてはエスプランドル聖王国の国王、アレクサンダーの親友であり、この事は早速国王に伝えられた。事の真実を知ったアレクサンダーは嘆くと同時に、この戦争が早期終結する事を願った。

アレクサンダー「そうか…本物のジギスヴァルドは死んだか…」
アンジェリーナ「あなた…そう気を落とさないで…」
アレクサンダー「ああ、それより、今はこの戦争が終わるかどうかだ」
ジョシュア「大丈夫です、お父様、きっとエスプランドル騎士団が終わらせてくれます」
セシリー「そうよ、お父様、きっと大丈夫だわ」
アレクサンダー「ああ、そうだな」

アレクサンダー王は少しでも戦力を増やすべく、側近のイフォンネをエスプランドル騎士団に合流させた。これにより、僅かながらだが、戦力が上がったのである。そして、両軍はオスクリタ大帝国へと到着した。しかし、そこには既に人の気配はなかった。

エルマー「ねえねえ、人の気配がしないんだけど…」
イェルハルド「…きっと皆殺しにされたんだ」
エルフリーデ「えっ!? でも自国の民なんでしょ?」
シーグリッド「魔族である奴らにとっては、ただの食糧なんでしょう」
アエリス「なら、国民は全員殺されたか…」
ヴァーラ「逃げたか、だろうな…酷い奴だ…」

その後、両軍は皇帝のいるオスクリタ城へと向かった。そのオスクリタ城では、皇帝であるジギスヴァルドと、女帝であるヴィルヘルミーナがいた。だが、ジギスヴァルドは自身の根城に攻め込まれそうになっている事に対し、ヴィルヘルミーナに責任を取らせていた。

ジギスヴァルド「これも全てお前の責任だぞ、ヴィルヘルミーナ、お前の産んだ子供がもう少し役に立っていれば…!」
ヴィルヘルミーナ「何よ、その勝手な言いがかり、ふざけた事言わないでくれる?」
ジギスヴァルド「ええい! もうよい! どのみち貴様はここで死ぬ運命だ!」

そう言って、ジギスヴァルドは錫杖を掲げ、ヴィルヘルミーナに雷を落とした。

ヴィルヘルミーナ「ギャアアアッ!!」

ヴィルヘルミーナは骨一つ残らず消し炭となった。そうこうしていると、玉座の間にエスプランドル騎士団と、オスクリタ大帝国軍の両軍が到着した。

ジギスヴァルド「…来たか」
ヴァーラ「ジギスヴァルド! お前は今まで私達の事を騙していたんだな! そして、私達に無駄な争いをさせた!」
ジェズアルド「それがどうした、魔族の繁栄の為に貴様ら人間は邪魔なのだ」
アエリス「あなたのせいで死ななくていい人が大勢死んだ! だから私達はここであなたを討つ!」

アエリスの掛け声で、両軍は武器を構えた。それを見たジギスヴァルドは、立ち上がり、体に力を込めた。

ジギスヴァルド「ぬおぉぉぉぉぉぉッ!!」

ジギスヴァルドの体からは深紅のオーラが発生し、体全体が深紅の光に包まれた。その光が収まると、ジギスヴァルドは真の姿を現した。その姿は悍ましい悪魔のような姿で、怪獣のように巨大な翼と尻尾が生えていた。

ヴァーラ「それがお前の正体か! ジギスヴァルド!!」
ジギスヴァルド「正体がばれているなら、もはや隠す必要もあるまい」
アエリス「なら、遠慮なく倒させていただきます!!」

アエリス達エスプランドル騎士団は一斉に攻撃を仕掛けたが、ジギスヴァルドは口から炎を吐き、攻撃を仕掛けた。エスプランドル騎士団は各自散開し、攻撃を回避したが、ジギスヴァルドは両腕を上げ、雷を落とした。その攻撃を食らい、数名の兵士が消し炭になってしまった。

ジェズアルド「あの雷を食らったら即死だ! 絶対食らうな!」
アビゲイル「簡単に言うけど、あれ避けるの大変なんだよ!?」
ヴァーラ「なら、我々が行く!!」

ヴァーラの合図で、部下のイェルハルドとシーグリッドがジギスヴァルドに向かって行った。しかし、3人は尻尾で薙ぎ払われ、吹き飛ばされてしまった。

ジギスヴァルド「貴様らのように貧弱な人間に、我は倒せぬ!!」
セアル「万事休すかしら…」
テオドール「でも、ここまで来て諦めたくないよ」
ソフィア「そうね、諦められないわよね…」
エーリカ「でも…一体どうすればいいんでしょうか…」

ジギスヴァルド「無駄だ! 諦めて死ぬがよい!」

ジギスヴァルドは再び両腕を上げ、雷を落とした。その攻撃を食らい、再び数名の兵士が消し炭になった。

レギーナ「もう! 何なのあの即死攻撃!!」
リーズ「あんな攻撃で死にたくないわよね」
イフォンネ「このままでは敗北する! ここは私に任せろ!」
カリスト「待て! 1人では危険だ!!」

イフォンネは槍を構え、馬を走らせた。

ジギスヴァルド「馬鹿め! 死ね!!」

ジギスヴァルドは炎を吐き、攻撃したが、イフォンネは攻撃をかわし、槍をジギスヴァルドの首に命中させた。

イフォンネ「どうだ!?」

しかし、ジギスヴァルドに命中した槍は先端が見事に折れていた。

ジギスヴァルド「フフフ…残念だったな、わしには人間の作った武器など効かぬのだよ…」

そう言ってジギスヴァルドは両腕を上げ、雷を落としてイフォンネを消し炭にした。

アエリス「イフォンネさん!!」
ジギスヴァルド「冥土の土産に教えてやろう、わしには魔法も効かん! まさに不死身だ! ナハハハハ!!」

その言葉を聞いた両軍の兵士の士気は一気に下がった。どんな攻撃も通用しない、そんな相手を倒せる訳がない。両軍の兵士は完全に諦め、死を待つだけであった。だが、そんな中でも諦めない人物が2人いた。それは、アエリスとヴァーラであった。

アエリス「私の剣は、エスプランドル聖王国に伝わる聖剣、アクアマリン…」
ヴァーラ「私の剣は、オスクリタ大帝国に伝わる魔剣、エラプション…」
アエリス「この剣なら…きっとあいつに通用するかもしれない…」
ヴァーラ「私達は、この剣に全てを賭ける!!」

そう言って、2人は足を走らせた。ジギスヴァルドは危機を察知したのか、雷や炎で攻撃した。しかし、2人は攻撃を回避し、ジギスヴァルドに向かった。そして、ジギスヴァルドのいる手前で同時に高く跳んだ。

アエリス「これで…!」
ヴァーラ「終わりだぁぁぁッ!!」

2人はジギスヴァルドをX字に斬り裂いた。彼女たちの予想通り、聖剣と魔剣の同時攻撃は効いており、ジギスヴァルドは苦しむ様子を見せていた。2人は続けてジギスヴァルドを十字に斬り裂いた。

ジギスヴァルド「ぐあぁぁぁッ!!」

同時攻撃を食らったジギスヴァルドは地面に倒れ込んだ。

ジギスヴァルド「おのれ…我が…滅びる…とは…」

そう言い残し、ジギスヴァルドは灰になった。こうして、エスプランドル聖王国とオスクリタ大帝国との戦争は終結した。

アエリス「…これでこの戦争も終わりだね」
ヴァーラ「…そうだな」

すると、ヴァーラはアエリスに対し、頭を下げた。

ヴァーラ「今まですまなかった、騙されていたとは言え、お前達を傷つけて…」
アエリス「いいよ、あなた達だって、魔族に騙されていたんだもん、これからは仲良くしていけばいいよ」

カリスト「完全な和解にまでは時間がかかるだろうが、いつか人間は争いを捨てる日がきっと来るさ」
ソフィア「だから、それまでは一緒に頑張りましょう」
ヴァーラ「…ああ、ありがとう」
アエリス「じゃあ、みんなで帰ろう!エスプランドル聖王国に!」

エスプランドル聖王国とオスクリタ大帝国はこの戦争の後、終戦協定を結んだ。戦後処理は意外にも早く終わり、この2つの国は同盟国となった。この戦いは後に、二大国戦記と言う物語として後世に語り継がれる事となる。