クロストライアル小説投稿ブログ

pixiv等で連載していた小説を投稿します、ここだけの新作も読めるかも?

フリーダムバトル スペシャルエディションII「蒼き星を包みし戦火」

2100年11月27日、F91達はエスプランドル聖王国に戻り、異世界から来た2人にこの世界について教えた。2人ともこの世界の状況に驚きつつもすぐ理解したようだった。

アルス「つまり、この世界ではイフィニアドと言う悪の軍勢が襲って来てるんだな?」
F91「まあ、そう言う事になるな」
アルス「どこの世界にも悪い奴はいるんだな…」
カムイ「けど、このまま放置するわけにもいきませんね…」
アルス「だが、俺は一刻も早く元の世界に戻って大魔王ゾーマを倒さなくてはいけない」
カムイ「でも、どうやって元の世界に戻るんですか?」
アルス「それが一番問題なんだよな…」
カムイ「とりあえず今はこの人達と行動を共にしませんか?」
アルス「そうだな」
F91「これからよろしくな、え~っと…」
カムイ「そう言えば、自己紹介がまだでしたね、私はカムイと言います」
アルス「俺は勇者アルス、勇者オルテガの息子で大魔王ゾーマを倒す旅の途中だ」

異世界から来た2人が自己紹介を終えると、F91達も自己紹介を終えた。だが、エスプランドル聖王国への脅威はまだ去っていない。なので、これからどうするか、作戦会議をする事になった。

F91「あのババルウ星人とザム星人、きっとまた攻めてくるな」
サイバスター「だろうな、戦術的撤退とか言ってたしな」
アエリス「もし攻めてくるとしたら、今度はきっと大勢で攻めてきますね」
ビギナ・ギナ「今はこちらもある程度戦力は揃ってるけど、大勢で攻められたら勝ち目はないわね…」
ビルギット「せめてスペースアークの修理が終わってたらな…」
テオドール「あの艦は今修理を勧めてるけど、かなり損傷が激しくて修理には時間がかかるよ」
F91「それにどの道イフィニアドの機動兵器の集中砲火にあったらちょっと戦闘用に改修したとはいえ、練習艦のスペースアークじゃすぐ撃墜されるさ」
サイバスター「第一、そのイフィニアドさんはどれぐらいの数で攻めてくるんだよ」
ビルギット「少なくて30ほど、多くて100~300ぐらいだな」
サイバスター「ゲッ! マジかよ!?」
F91「前回攻めてきた時はよほど自分の作った兵器に自信があったんだろうな」
ビルバイン「本気で攻めてこられたらここはすぐ落ちると言う訳か…」

F91達が作戦会議をしていると、突然エーリカが駆け込んできた。

エーリカ「大変です! イフィニアドの部隊が攻めてきました!!」
アエリス「やはり来ました! 本気でここを攻め落とすつもりですね!!」
F91「アエリスさん、行きましょう! みんなでここを守るんです!」
アエリス「はい! 行きましょう!!」

F91達とエスプランドル騎士団はエスプランドル聖王国防衛の為、イフィニアド部隊の迎撃に向かった。そして、エスプランドル聖王国から少し離れた草原でイフィニアドと対峙した。やはりババルウ星人とザム星人が率いており、レギオノイドやインペライザーと言った機動兵器はもちろんの事、ザクやゲルググと言ったMS族やガイナバラスやギガゼールと言った怪人、洗脳した怪獣などで部隊を構成していた。

ババルウ星人「クロストライアル! さっきの借りを返しに来たぜ!!」
F91「1日に3回も攻めに来るとは、本当にしつこいな!!」
エルフリーデ「しつこい男は嫌われるわよ!!」
ザム星人「あいにく俺とババルウはしつこいのが売りでね!!」
ババルウ星人「残念だが、今度こそお前らには死んでもらうぜ!!」
F91「人の生き死にをお前らなんかに決められてたまるか!!」
アルス「…あいつらもゾーマと同じだ」
ビルバイン「アルス…」
アルス「罪のない人々を苦しめる…あいつらも勇者である俺が戦う相手だ!!」
サイバスター「その意気だぜ、アルス! 俺達全員でイフィニアドを叩き潰すんだ!」
アルス「ああ!」
ババルウ星人「そう簡単に勝てると思うなよ!!」
ザム星人「やれ!!」

ザム星人の合図でイフィニアドの部隊は一斉に攻撃をかけてきた。

アエリス「こっちも行きますよ!」
F91「みんな行くぞ!!」

F91達とエスプランドル騎士団は侵攻してくるイフィニアドの部隊に応戦した。遠距離攻撃ができるF91ヴェスバービームライフルでイフィニアドの機動兵器を次々と撃破、ビギナとビルギットもビームライフルでザクやゲルググを倒した。一方、接近戦が得意なビルバインダンバインサイバスターは敵に素早く近づき、それぞれオーラソードとディスカッターで敵を次々と斬り倒していった。

ババルウ星人「それなりにはやるようだが、まだこちらには数がある!!」

そう言うと、後ろに待機していたグランタンカーから機動兵器が出撃した。

ダンバイン「どうやら相当数を揃えているようね」
アルス「だったら魔法で一掃する! ベギラマ!!」

アルスはベギラマを唱えた、激しい炎が7体ほどの敵を襲った。

ザム星人「ほう…あれは魔法か…面白いな」

一方、カムイはエスプランドル騎士団と共に迫り来る敵に応戦していた。

カムイ「エルマーさん! 敵がそちらに行きました!」
エルマー「サンキュー! カムイ!」
カムイ「テオドールさん! レギーナさん! 一旦下がって形成を立て直してください!」
テオドール「分かった、そうするよ!」
レギーナ「私が空いた穴はエーリカが埋めてね」
エーリカ「はい!」
ジェズアルド「あのカムイと言う者の指揮…中々の物だな…」

一方、ババルウ星人は思ったより抵抗するF91達に苛立ちを覚えていた。

ババルウ星人「チッ! こいつら、中々粘るな…」
ザム星人「予想以上に粘ってくれるな、あいつら」
ババルウ星人「おいザム、何とかならないのか?」
ザム星人「俺にいい考えがある!」
ババルウ星人「それは何だ?」
ザム星人「それはだな…」

ザム星人はババルウ星人に耳打ちで作戦を伝えた。その作戦にババルウ星人も納得した様子だった。

ババルウ星人「よし! その作戦で行くぞ!!」
ザム星人「全機、出撃!!」

ザム星人の合図で、グランタンカーから全ての機動兵器が出撃した。レギオノイドにインペライザー、キングジョーにガメロット等、様々な機体が出撃した。

サイバスター「どうやら、あれで全部らしいな」
F91「あれを倒せば俺達の勝ちだな!」
ビルギット「よし! みんな行くぞ!!」

すると、レギオノイドとインペライザー数10機がF91達とエスプランドル騎士団に向かって突撃してきた。

サイバスター「な…何だ!?」

そして接近しきった次の瞬間、機動兵器は自爆した。その威力は凄まじく、F91達は吹き飛ばされた。

F91「うわあああああっ!!」
アルス「何だ!? メガンテか!?」
サイバスター「あの機体、特攻したのかよ!?」

その爆発には、近くで戦闘していたMS族や怪人たちも巻き込まれていた。

エリック「あいつ…! 味方ごと…!!」
アルス「何故だ…!? 彼らはお前達の味方じゃないのか!?」
ババルウ星人「役に立たない奴らはいらねーよ」
ザム星人「貴様らを倒す為なら、手段など選ぶつもりはない」
アルス「貴様ッ!!」
カムイ「許せません…! 許せませんこんな事ッ!!」
ザム星人「さあ、あいつらに痛手は負わせた、とどめだ!!」

ザム星人の合図で再びF91達とエスプランドル騎士団に機動兵器が向かった。

F91「まずいッ!!」
ビギナ・ギナ「F91ッ!!」

そして、F91達とエスプランドル騎士団は大爆発に巻き込まれた。その爆風は数十人程度なら完全に消し飛ぶほどの威力だ。それを見たババルウ星人とザム星人は勝利を確信した。

ババルウ星人「クククッ…ハハハハハッ! あいつら、死にやがった!!」
ザム星人「やったな! ババルウ!!」
ババルウ星人「ああ! ドトールの仇だ!!」

完全に勝利を確信したババルウ星人たちだったが、爆炎の中から出てきたものにババルウ星人とザム星人は目を疑った。

ザム星人「おい…嘘だろ…!?」
ババルウ星人「何故…何故貴様らが生きている!?」

何と、あの大爆発の中でF91達とエスプランドル騎士団は無傷だったのだ。

F91「あれ…? 何故僕達は無傷なんだ?」
サイバスター「生きてる…普通なら助からないよな…」
エーリカ「と言うか、何があったんですか?」
アルス「アストロンの呪文を使ったのさ」
エルマー「アーストロン?」
アルス「アストロンだ、俺の仲間全員を鉄の塊に変える呪文さ、流石に仲間が多すぎて魔力をかなり消費したけどな」
ババルウ星人「おのれ…! そんなの卑怯だろ!!」
ビルギット「お前な…あんな手段を使った奴と俺ら、どっちが卑怯だよ…」
ババルウ星人「黙れ! こうなったら全機突撃させてやる!!」
サイバスター「そうはさせないぜ! いっけぇぇ! サイフラァァァッシュ!!」

サイバスターは広範囲を攻撃するサイフラッシュで攻撃した。サイフラッシュはイフィニアドの機動兵器を次々と破壊した。しかし、サイフラッシュにクロストライアルとエスプランドル騎士団も巻き込まれそうになっていた。

カムイ「サイバスターさん! 私達も巻き込まれますよぉぉぉ!!」

しかし、クロストライアルとエスプランドル騎士団にはダメージがなかった。

エーリカ「あれ? 痛くいない?」
サイバスター「まあな、サイフラッシュは味方を巻き込まない技なんだ」
ババルウ星人「何!? 味方を巻き込まない技だと!?」
ザム星人「そんなデタラメな技があってたまるか!!」
ビルバイン「いい加減現実を見たらどうだ」
ババルウ星人「何?」
サイバスター「俺達は異世界から来た、その異世界にはお前達イフィニアドの知らない事があってもおかしくないだろ?」
ザム星人「俺達の知らない事…か…」
ババルウ星人「フン! 面白いじゃねえか! だが、俺達は倒せてもイフィニアドの幹部や四天王には敵わんぞ?」
アルス「大丈夫だ、俺達が協力し合えば、そいつらにもきっと勝てる!!」
ババルウ星人「ならばかかって来い! 瀕死のお前らなら俺達だって勝てるぜ!!」

ババルウ星人とザム星人は瀕死のF91達にとどめを刺す為、向かって来た。

カムイ「このままだと皆さんがやられてしまう…! こうなったら…!!」

カムイは竜石を取り出した。すると、カムイの体が輝き、白い竜に変身した。

ババルウ星人「何だあの怪獣は!?」
ザム星人「今更怪獣1匹程度!!」

カムイは長い尻尾でババルウ星人とザム星人を薙ぎ払った。

ババルウ星人「ぐわっ!!」

続いてカムイは前足でザム星人を踏みつぶした。

ザム星人「ぐわあああああっ!!」

ザム星人は体を完全に踏みつぶされ、爆散した。

ババルウ星人「ザムッ! クソッ!!」

カムイは高く飛びあがり、体を前一回転させ、ババルウ星人を尻尾で叩き潰した。

ババルウ星人「ぐおっ! ドトール! すまねえっ! ぐあああああっ!!」

ババルウ星人は断末魔の叫びを上げ爆散した。ザム星人とババルウ星人を倒した事で、イフィニアドの部隊は全滅した。

サイバスター「何とか勝てたな」
F91「そうだな」

その後、カムイは元の姿に戻った。

カムイ「すみませんみなさん、驚きました?」
ビギナ・ギナ「まあ、驚きはしたわよね」
カムイ「私は神祖竜の血を受け継いでいるので、竜に変身できるんです」
アルス「竜に変身…ねぇ…」
カムイ「どうかしました?」
アルス「俺の世界にもドラゴラムって言うドラゴンに変身する呪文があるんだよ」
カムイ「そんな呪文があるんですね、凄いです!」
アルス「まあ、俺は覚えてないけどな」
サイバスター「何だよ、披露してくれると思ったぜ」
アルス「無茶言うな! こっちは魔力が枯渇してるんだよ! それに俺は覚えてないし!!」

2100年11月28日、F91達はエスプランドル聖王国に戻って今後の事を話し出した。

F91「で、つまり僕達はスペースアークの修理が終わるまで次の任務に移れないって訳だ」
ビルギット「まあ、仕方ないよな、乗ってきた戦艦が破壊されちゃどうしようもないしな」
エーリカ「スペースアークの修理が終わるまではぜひエスプランドル聖王国に滞在してください」
ビギナ・ギナ「ありがとう、そうさせてもらうわ」
サイバスター「でも、いいのかよ? 一応世界中でイフィニアドが出没してんだろ?」
F91「僕達だって出撃したいのはやまやまさ、でも、移動手段がないからどうしようもないし…」
アルス「一応俺にはルーラって言う移動魔法があるけど、一度行った場所にしか行けないんだ」
カムイ「つまり、しばらくここに滞在するしかない訳ですね…」
F91「そう言う事になるね、まあ、しばらくゆっくり休もう」
サイバスター「流石に3連戦は堪えたしな」
アエリス「じゃあ、一番いい宿を構えておきますね」
F91「何から何までありがとうございます、アエリスさん」
アエリス「礼には及びません、私達の国を救ってくれたほんのお礼です」
ビルギット「じゃあ、お言葉に甘えて休ませてもらうか!」
F91「そうだな」

F91達はスペースアークの修理が終わるまで、戦線から離れる事になった。

2100年11月26日、激戦区となっている日本の首都東京では、かつて世界を救ったヒーロー達が人々の平和を守る為、戦っていた。ヒーロー達は数十人で数百人のイフィニアドとヴェイガンの部隊と戦っていた。

アバレッド「イフィニアドにヴェイガンめ! どんな大勢で来ても負けないぞ!」
ZO「みんな一生懸命に生きている! それを壊させはしない!」
J「人々を守る為に、俺達は戦う!」
シン「俺達はお前達に負ける訳にはいかないからな」
BLACK「イフィニアドにヴェイガン! お前達の悪事、俺達が許さん!!」
シャンゼリオン「って訳だ、とっとと帰れ!」

アバレッドは爆竜戦隊アバレンジャーのリーダーで、2年前に襲来したエヴォリアンと戦ったヒーローだ。
仮面ライダーZOはネオ生命体から少年を守り抜いた仮面ライダーで、仮面ライダーJはフォッグと言う侵略者から地球を守った仮面ライダーだ。仮面ライダーシンは財団と言う悪の組織から平和を守り抜いた哀しき仮面ライダーで、彼とZOとJの3人はネオライダーと言う別名で呼ばれている。
仮面ライダーBLACKゴルゴムやクライシス帝国と戦った仮面ライダーで、仮面ライダーBLACK RXだった頃もあったが、現在は力を失いBLACKの姿になっている。
シャンゼリオンはダークザイドと言う闇生物と戦ったヒーローで、実力自体はある方だが、女好きで遊び好きと言ういまいちやる気のないヒーローでもある。
そんな彼らが対峙している相手はイフィニアドとヴェイガンの部隊、そして、一人の仮面ライダーだった。

シザース「いくら前大戦を生き抜いたヒーロー達でも、この数相手に勝てるとお思いですか?」
龍騎シザースてめえ! イフィニアドがどんな事をしているのか知ってるのかよ!?」
シザース「もちろん知ってますよ、知ってるからこそ自分の安全の為にイフィニアドになったのですよ」
ナイト「相変わらずだな、お前は」

シザースは刑事でありながら悪人でもある仮面ライダーで、度々他のヒーロー達と衝突していた。特に、仮面ライダーナイトとは何度もやり合っている。
仮面ライダー龍騎仮面ライダーナイトはシザースと違って正義の仮面ライダーであり、対立する事もあったが、前大戦を生き抜いた歴戦の仮面ライダーでもある。

ZO「お前は何の罪もない人々を何度もボルキャンサーに襲わせた!」
J「いつもすぐ逃げられて倒せなかったが、今日こそは逃がさない!」
ナイト「今日こそ決着をつけてやるぞ、シザース

シザースは自分の契約モンスターであるボルキャンサーに都合の悪い人間を襲わせる行為を繰り返していた。その被害は計り知れなく、恐らく20人は犠牲になっていると思われる。

シザース「そう簡単に私を倒せるとお思いですか?返り討ちにしてあげますよ」

そう言ってシザースは自身の部隊に命令を出した。シザースの命令で、イフィニアドとヴェイガンの部隊は動き出した。

ナイト「来たか」
アバレッド「皆さん! 行きますよ!!」
龍騎「っしゃあ!!」


東京にイフィニアドとヴェイガンが出現した事を知ったディーヴァ隊は本来の目的地でもあった東京に全速で向かっていた。

ギンガ「東京が激戦区であることは知ってたけど、まさか更に激戦区になるとはな…」
AGE-3「早く東京に向かって、悪いヴェイガンとイフィニアドをやっつけないと!」
翼「確かに、東京には多くの民間人が住んでいるからな!」
アリア「私とギンガも手を貸すわよ、AGE-3」
AGE-3「アリアさん、いいんですか?」
アリア「当然よ、あの時助けてくれたことのお礼ぐらいさせなさいよ」
ギンガ「そうだぜ、AGE-3、もっと俺達を頼れよ」
AGE-3「ギンガさん…アリアさん…ありがとうございます!」
セリック「さて…東京が見えてきたぞ」

その頃、東京ではヒーロー達とイフィニアド、ヴェイガンが戦っていた。

BLACK「ライダーパァァァンチ!!」
ダナジン「ぐわあああっ!!」
J「行くぞ! ZO!!」
ZO「おうっ!!」
J&ZO「ライダァァーキィィィックッ!!」
アーナガルゲ「グァォォォォォォッ!!」
アバレッド「アバレイザー!!」
シャンゼリオン「ガンレイザー!!」
ガイナガモス「ぐおおおおっ!!」
シン「スパインカッター!!」
ゲルググ「うわあぁーっ…!!」
龍騎「でやぁっ!!」
ナイト「ハッ!!」
レガンナー「ぐはぁぁぁっ!!」

ヒーロー達は歴戦の力でイフィニアドとヴェイガンの混戦軍を次々と撃破していった。

龍騎「しっかし、ヴェイガンって人間が進化したもんなんだろ? それを倒すのはあまりいい気がしねえよな…」
ナイト「何を今更迷っている、俺達ライダー族も人間が進化したものだ」
龍騎「えっ? そうだっけ?」

この世界のウルトラ族やライダー族、MS族はどれも人間が進化した存在であり、それらは違った特徴と高い身体能力を持っているのである。

ナイト「お前、ライダー族なのにそんな事も知らなかったのか…」
龍騎「知らないって言うか…忘れてた!」
ナイト「お前は本当に馬鹿だな」
龍騎「何だと!?」
アバレッド「まあまあ、喧嘩は後々」
シザース「おやおや、思った以上に粘りますね…」
龍騎シザース! そんな所で高みの見物をしてないでお前も戦え!!」
シザース「もちろん、戦いますよ、あなた達が弱った頃にね」
ナイト「そう言って、今日も逃げるつもりだろ」
シザース「いえ、今日はきちんと戦いますよ、そろそろあなた方と決着をつけたかったので」
BLACK「なら、一気に雑魚を蹴散らしてお前を倒すまでだ!!」
シザース「できるものなら、やってみなさい」
龍騎「ナイト、まずは雑魚を一気に蹴散らすぞ!!」
ナイト「そうだな」

龍騎はドラグクローを召喚した。

龍騎「はぁぁぁぁ……たああぁぁぁぁッ!!」

龍騎はドラグクローファイヤーを放ち、辺り一帯を爆風で吹き飛ばした。イフィニアドの兵士や機動兵器は吹き飛び、大打撃を与えた。

シザース「なっ!?」

爆竜戦隊アバレンジャー「必殺! ダイノダイナマイト!!」

アバレンジャーの3人はそれぞれのダイノウェポンを合体させ、ダイノボンバーを完成させた。そして、3人のダイノガッツを結集させ、必殺ダイノダイナマイトを放った。その攻撃でヴェイガンの兵士達を一気に吹き飛ばした。

シザース「中々やりますね…」
ナイト「貴様、さっきの言葉覚えてるか?」
シザース「勿論覚えてますよ、ですが、私には奥の手があるんですよ!」
ZO「奥の手だと!?」
シザース「それは、これですよ!!」

仮面ライダーシザースは上空に待機させてある輸送艦ブロザードから1体の怪人を転送させた、ヒーロー達はその姿に見覚えがあった。

J「おい…あいつって確か…!」
BLACK「そんな…まさか…!」
アバレッド「ヤツデンワニ…どうして…!!」

ヤツデンワニはかつてエヴォリアンの創造の使徒ミケラが生み出したトリノイド第12号であり、敵でありながら味方になったトリノイドである。ヒーロー達と関わる事も多く、マスコットのような存在であった。

シザース「簡単な話です、怪獣達を洗脳するように洗脳してあげたんですよ」
アバレイエロー「酷い…何でそんな事…!!」
シザース「あなた方と親しい怪人なら、利用するしかないでしょう?」
アバレブルー「貴様! 本当にどこまでも腐った奴だな!!」
シザース「何とでも言いなさい、勝つ為なら手段なんて選びませんよ」
アバレッド「許さない…! あなたは絶対に許さない!!」

そう言ってアバレッドはシザースに攻撃を仕掛けようとしたが、ヤツデンワニはアバレッドを攻撃した。

アバレッド「うわっ!?」
シザース「残念でしたね、今やこのトリノイドは私の忠実なしもべですよ」
シャンゼリオン「くそっ! 後味は悪いけど、あの怪人は諦めるしかないな!」
アバレブルー「だが、あいつは俺達の仲間だ、それを攻撃する訳にはいかない!!」
シャンゼリオン「けど、今のあいつは敵なんだぞ!?」
アバレッド「それでも! 苦楽を共にした仲間を倒す事なんかできませんよ!!」
シザース「やはりあなた方は甘い、こいつを洗脳して正解でしたよ」

ヤツデンワニはヒーロー達を次々と吹き飛ばしていった。元々ミケラの自信作だったこともあり、その実力はかなりの物だった。

アバレブルー「くそっ! 何て力だ!!」
アバレッド「やめろ! 目を覚ませ! ヤツデンワニ!!」
アバレイエロー「もうやめて! ワニちゃん!!」

しかし、洗脳されたヤツデンワニにはその言葉は届かず、ヤツデンワニは攻撃を続けた。その頃、東京の上空にはディーヴァ隊が到着していた。

セリック「東京も火の海になっているとは…」
ギンガ「イフィニアドにヴェイガン! 絶対に許せねぇ!!」
AGE-3「ギンガさん、アリアさん、僕は先に行きます!」
ギンガ「AGE-3! 頑張れよ!」
アリア「気を付けなさいよ!」
AGE-3「ガンダムAGE-3、行きます!!」

そして、AGE-3はディーヴァのカタパルトから発進し、地上に着陸した。

シン「あれは…! ガンダム族か!」
AGE-3「あれがイフィニアド! 僕が倒す!!」

そう言ってAGE-3はヤツデンワニをビームサーベルで斬りつけた。

アバレッド「そこのガンダム族! 待ってください!!」
AGE-3「何でですか? この怪人は敵ですよね?」
アバレブルー「正確には、味方だったものが、操られているんだ」
アバレイエロー「本当は優しい怪人なの、だから、攻撃をやめて!」

その言葉を聞いて、AGE-3は攻撃をやめたが、悩んでいた。洗脳された怪獣達を元に戻す手段が分かっていなかったからだ。

AGE-3「でも、僕が攻撃をやめたからって、この怪人は攻撃をやめない…誰かがこの怪人を倒さないと、もっと被害が出てしまう…」

それを聞いたヒーロー達はすぐに返事を返した。

アバレッド「それでも、助けられそうな命は助けるんですよ!」
BLACK「自分のよく知った人と戦うのは辛いからね」
AGE-3「皆さんは、助けるのが難しそうでも、助けるんですか?」
龍騎「そんなの、当然の事だろ?」
ナイト「あいつだって、誰かに無理やり戦わされているだけなんだ」
AGE-3「でも…どうやって助けたら…」

その時、アバレッドは気づいた、ヤツデンワニは上空から転送されてきた、なら、上空からヤツデンワニを制御しているのではないかと。

アバレッド「そうだ! 君、上空に怪しい物がないか探してもらって!」
AGE-3「分かりました! セリック隊長! お願いがあります」

AGE-3はアビス隊に頼み、上空に怪しい物がないか探してもらった。その結果、ディーヴァのレーダーにイフィニアドの輸送艦が感知されたのだった。わざわざ見つかりにくいように光学迷彩を張っていた事もあり、この輸送艦がヤツデンワニを操っている事はほぼ確定だった。そして、上空ではイフィニアドの輸送艦の破壊の為、アビス隊とウルトラマンギンガが出動していた。

セリック「報告によると、この辺にイフィニアドの輸送艦があるらしい」
ギンガ「だったら、さっさと破壊してしまおうぜ!」
シャナルア「そうね」
セリック「アビス隊! 攻撃開始!!」
ギンガ「ギンガクロスシュート!!」

アビス隊の総攻撃とギンガのギンガクロスシュートを受けたブロザードは大爆発を起こし、爆発四散した。それと同時に、ヤツデンワニの洗脳は解かれたのだった。

ヤツデンワニ「んん!? ワニは今の今まで何をしてたんだ?」
アバレッド「ヤツデンワニ! よかった…」
アバレブルー「ったく、心配かけさせやがって」
アバレイエロー「でも、元に戻ってよかったわ」
ヤツデンワニ「え? え? 何何? 何があったの?」
AGE-3「無事でよかったですね」
龍騎「あの怪人は、君とその仲間が救った命だぜ」
AGE-3「僕達が救った命ですか…」
ヤツデンワニ「ねえねえ! 君がワニを助けてくれたんだね?」
AGE-3「え…はい」
ヤツデンワニ「ありがとう! ベルベル!」

感謝の気持ちを存分に受け取ったAGE-3は少し困っていたが、内心は命を救えたと言う事もあり、嬉しかった。すると、計画を邪魔されたシザースは契約モンスターのボルキャンサーと共にヒーロー達に襲い掛かった。

シザース「こうなれば、最後の手段です! 私自らあなた達を葬ってあげましょう!」

シザースシザースピンチでヒーロー達を次々と攻撃した。

ZO「ぐあっ! こいつ! 諦めが悪いな!!」
ナイト「そっちが決着を付ける気なら、俺が相手をしてやる!!」
シザース「あなた自ら、ですか、いいでしょう、相手になりますよ」
ナイト「行くぞ! たぁぁぁぁッ!!」

ナイトはファイナルベントの飛翔斬を放った、それに対抗するかのように、シザースもファイナルベントのシザースアタックを放った。二つの攻撃はぶつかり合い、大爆発を起こした。

龍騎「どっちが勝った!?」

爆風の中から出てきたナイトは地面に倒れ込んだ、一方のシザースは無傷で地面に着地した。

シザース「私の勝ちですね」
ナイト「くっ…! あいつ…強い…!!」
龍騎「あの逃げてばっかの奴が、何でこんなに強いんだ!?」
シザース「まだ分かりませんか? 私は力を貰ったのですよ、イフィニアドからね!」
ナイト「だからあんなでたらめに強いのか…」
シザース「私は不利な戦いはしませんよ」

シザースの凶悪さを見たAGE-3は、シザースを倒す決意をした。

AGE-3「こいつを倒さないと、みんなが傷つく…!」

AGE-3はシザース目掛けてシグマシスライフルを放った、すると、シザースを庇うかの様にボルキャンサーが盾になった。そして、ボルキャンサーはシグマシスライフルを弾き飛ばした。

シザース「ああ、言い忘れていました、ボルキャンサーも強化されていますよ」
AGE-3「あの固い守りを貫くには、一体どうすれば…」

その時、AGE-1から通信が送られてきた。

AGE-1「AGE-3、そっちの状況は分かった」
AGE-3「じいちゃん! どうにかなるの?」
AGE-1「なる、お前がAGE-3フォートレスになればな」
AGE-3「AGE-3フォートレス!?」
AGE-1「そうだ、今から送るGホッパーとドッキングするのだ! できるな?」
AGE-3「うん!」

AGE-3はディーヴァから送られてきたGホッパーと空中でドッキングし、ガンダムAGE-3フォートレスになった。その姿は全身に4門のシグマシスキャノンがあり、名前の通り要塞のようだった。

シザース「おや? 何ですかあれは?」
シャンゼリオン「凄い見た目のガンダム族だな」
ヤツデンワニ「かっこいいじゃーん!!」
AGE-3「仮面ライダーシザース! お前を倒す!!」
シザース「そんな姿になったところで、私は負けませんよ!!」

仮面ライダーシザースはボルキャンサーと共にAGE-3の所へと向かった。

AGE-3「これでお前を倒す! いっけえぇぇぇっ!!」

AGE-3フォートレスは、4門あるシグマシスキャノンを一斉射した。

シザース「なっ!?」

シザースはすぐさまボルキャンサーを盾にしたが、ボルキャンサーはそれに耐えきれず爆散、シザースも吹き飛ばされた。

シザース「そ…そんな……!!」
アバレッド「凄い威力だ!!」
龍騎「あの威力! まるで動く要塞だぜ!!」

シザースは瀕死になりながらも逃走を図った。

シザース「私は…絶対生き延びて…」

しかし、そのシザースの前に一人の仮面ライダーの影があった。近くにいるだけで感じるその恐ろしさ、シザースはその仮面ライダーを知っていた。

シザース「お前は…! 仮面ライダー王蛇! 何故!?」
王蛇「お前に逮捕された恨みを晴らしに来てやったんだよ…」
シザース「よ…よせ!!」
王蛇「ハッハッハ!」

王蛇はファイナルベントのベノクラッシュを放った。

シザース「うわぁぁぁぁっ!!!」

シザースは王蛇の連続蹴りを食らって吹き飛び、爆発四散した。

王蛇「この世界に刑事は要らない…」

その様子を見ていたAGE-3は王蛇に恐怖を感じていた。

AGE-3「あの仮面ライダー、危険すぎる…」
龍騎「あいつは、とんでもない奴だぜ」
AGE-3「え?」
シン「ただイライラしたからと言う理由で人を殺す、正真正銘のモンスターだ」
AGE-3「そんな人がいるなんて…、許せない!」
王蛇「おお…潰し甲斐のありそうな奴らが沢山いるぜ…」
ZO「王蛇! お前は相変わらず変わってないな!」
J「自分が戦いたいがばかりにイフィニアドに入ったのか?」
王蛇「戦いたいんだよ、俺は…戦ってる間だけは頭がスッキリするんだ!」

シャンゼリオン「ん~?」
ヤツデンワニ「どうしたの? 銀色の人?」
シャンゼリオン「あいつの声、な~んか俺に似てるんだよね…」
ヤツデンワニ「言われてみれば、そうかも」
王蛇「何だぁ? お前を見てると何かイライラするな…」
シャンゼリオン「え? 俺?」
王蛇「次に死ぬのは、お前だ」
シャンゼリオン「え!? 嘘!?」

王蛇はベノサーベルでシャンゼリオンに斬りかかったが、シャンゼリオンはシャイニングブレードで受け止めた。

シャンゼリオン「危ねぇじゃねぇか!!」
王蛇「チッ…!!」

すると、シザースが爆散した場所の近くに一人の人影があった。

悠人「王蛇、もう始めたんだね」
王蛇「もちろんだ、戦いはいい…ゾクゾクする!」
BLACK「…誰だ?」
アバレブルー「誰かは知らないが、王蛇の関係者だろう」
悠人「ヒーローの諸君、君達は我々イフィニアドの邪魔をする、だから、ここで全員死んでもらうよ?」
シン「とんでもない奴が2人も現れるとは…!」
シャンゼリオン「こっちとしては最悪の展開だぜ!」
AGE-3「けど、ここで彼らを逃がしたら大変なことになります!」
ギンガ「だから、ここで決着をつける、そうだろ?」
AGE-3「ギンガさん…それにアリアさんにアビス隊の皆さんも」
アリア「やれるわね? AGE-3?」
AGE-3「はい!」
オブライト「なら、行くぞ!」
王蛇「潰し甲斐のある奴が沢山…本当に楽しいな…」
悠人「僕達は負けないよ? さあ、始めよう」

ヒーロー達は、東京での激闘の後、消耗した状態で突如現れた王蛇と悠人の2人と戦う事となった。数の方はヒーロー達の方が上だが、ヒーロー達は消耗している為、総合戦力は互角と言った所だろう。

ギンガ「よし! 先手必勝だ! 行くぜ!」

ギンガは王蛇に対し、ギンガセイバーで斬りかかった、だが、王蛇は軽々と回避し、ギンガを蹴り飛ばした。

王蛇「バカかお前は?」
BLACK「ネオライダーの3人! 一気に行くぞ!!」

BLACKとネオライダー3人は王蛇に対し、一斉に攻撃したが、ベノサーベルで次々と斬り払われてしまった。

シャンゼリオン「おいおい、あいつ、本当にただのライダー族の犯罪者なのか?」
ZO「でたらめな強さだろ? だから、あいつは危険なんだ!」
悠人「おっと! 僕の事も忘れないでね! デスサイクロン!!」

悠人は上級闇風魔法デスサイクロンを唱えた。巨大な暗黒の竜巻を発生させ、ディーヴァ隊を攻撃した。

AGE-3「うわぁぁー--っ!!」
セリック「くっ! 何て威力だ!!」

吹き飛ばされたディーヴァ隊はビルの壁に激突した。

オブライト「ぐっ!!」
シャナルア「あの男、ただ者じゃないね!」
悠人「まあ、これでも僕はイフィニアドの幹部だからね」
アリア「そう言う事なら、ここで倒すしかないわね!」

そう言ってアリアはコルト・ガバメント・クローンを発砲した。だが、悠人が発生させた魔導障壁で全弾防がれた。

悠人「無駄だよ」
アリア「あたしの銃じゃ決定打にはなりづらそうね…」
AGE-3「僕がやります!」

AGE-3フォートレスは、4門あるシグマシスキャノンを一斉射した。そして、悠人はシグマシスキャノンのビームに呑まれた。

龍騎「流石のあいつも、これなら…」

しかし、悠人は無傷でピンピンしていた。

アバレブルー「何故、あれを食らって無事なんだ!?」
悠人「魔導障壁を全開にしたから、何とか防げたのさまあ、流石に魔力をかなり消費したけどね…」
龍騎「化け物かよ!?」
ナイト「いや、これは逆にチャンスだ、奴は魔力を消費している、ならば、一斉攻撃する絶好のチャンスだ!」
アバレッド「確かにそうですね!」
悠人「おっと、そう簡単にはやられないよ?」

悠人は向かってくるヒーローを暗黒剣デスシュヴェルトで次々と斬り払った、その様はまるで時代劇の殺陣のようだった。

アバレブルー「くっ! 強い!!」
ヤツデンワニ「ベルベル、みんなピンチみたいだよ、ねえ、何とかしてよ、銀色の人!!」
シャンゼリオン「無理無理! あいつらで駄目なら俺が行ったって殺されるだけだぜ!!」
王蛇「おい」
シャンゼリオン「やべっ!!」
王蛇「お前の声を聞くとイライラするんだよ…」
シャンゼリオン「す…すみません…」
王蛇「俺をイラつかせるな!!」

シャンゼリオンは王蛇のベノサーベルで斬りつけられた。

シャンゼリオン「痛ってぇ!!」
王蛇「消えろ…そろそろ」

王蛇がベノサーベルを振り上げ、シャンゼリオンにとどめを刺せようとしたその時、シャンゼリオンは王蛇に体当たりをした。

王蛇「くっ! 貴様…何のつもりだ…」
シャンゼリオン「そう簡単に殺されてたまるかってんだ! そっちがやる気なら、こっちだってやってやろうじゃねえか!!」
王蛇「どいつもこいつも…イライラさせる奴ばかりだな!!」

完全に怒り狂った王蛇は、ベノサーベルでシャンゼリオンに斬り掛かった。それに対し、シャンゼリオンはシャイニングブレードで応戦した。

シャンゼリオン「意外かもしれないけど、俺だって1年前の戦いを生き抜いたヒーローだぜ? そう簡単にやられるか!!」
王蛇「本当にイライラさせる奴だ!!」

シャンゼリオンと王蛇は互いに激しく斬り合った。王蛇は獲物をしとめる獣の様に、シャンゼリオンはそれに抵抗する獲物の様に互いが決して譲る事のない攻防が続けられていた。

龍騎「何か、凄いな、あいつ」
J「普段からあれだけやる気を出してくれたらいいんだけどね…」
悠人「さて…そろそろトドメを刺してあげよう、デストライサイクロン!!」
セリック「まずいぞ!」

悠人は最上級闇風魔法デストライサイクロンを唱えた。巨大な竜巻と三角形の斬撃がヒーロー達を襲い、ヒーロー達は吹き飛ばされた。

BLACK「うわああぁぁぁっ!!」
シン「ぐおおおおおっ!!」

ヒーロー達は地面に倒れ込み、それぞれが痛みに苦しんでいた。

アバレッド「もう…立ち上がる事も出来ない…!!」
ギンガ「このままだと…負けちまう…!!」
悠人「おやおや、もう攻撃魔法を唱えるだけの魔力がないよ、じゃあ、とどめはこのデスシュヴェルトで刺してあげよう」
AGE-3「このままだと、ヒーローの皆さんが…!!」

その時、AGE-3に通信が送られてきた。

AGE-1「AGE-3よ、今からそちらにGバイパーを送る、それとドッキングしてAGE-3オービタルになるのだ!!」
AGE-3「分かったよ、じいちゃん! イフィニアドを倒す為、僕はやるよ!!」

その通信の後、すぐGバイパーが送られてきた。そして、AGE-3はドッキングし、ガンダムAGE-3オービタルとなった。

悠人「ん? あれは?」
AGE-3「これで終わりだぁぁぁッ!!」

AGE-3オービタルはビームサーベルを使っての高機動攻撃で悠人を次々と斬りつけた。悠人はデスシュヴェルトで防御していたが、防御しきれず、次々とダメージを負っていた。

悠人「ぐっ! このガンダム族にこんな力があるとは…!!」

一方の仮面ライダー王蛇も、シャンゼリオンの底力に苦戦を強いられていた。

王蛇「こいつ…! 中々しぶといな…」
シャンゼリオン「一気にとどめを刺してやる!!」

シャンゼリオンはガンレイザーとシャイニングブレードを合体させ、スクラムブレイザーと言う強力な光線銃を完成させた。

シャンゼリオン「食らえ! スクラムブレイザー!!」

スクラムブレイザーのビームを食らった王蛇は、その威力に初めて地面に膝をついた。

王蛇「くっ! こいつ…!!」

すると、AGE-3オービタルの攻撃から何とか脱出した悠人が王蛇に駆け寄ってきた。

悠人「王蛇、ここは不利だ、撤退しよう」
王蛇「どうした? もう終わりか?」
悠人「今日の所はね、またすぐに戦える時が来るよ」
王蛇「そうか…おい、そこの銀ピカ!」
シャンゼリオン「へ? 俺?」
王蛇「次は叩き潰す!!」

そして、悠人のテレポートの呪文で悠人と王蛇は去って行った。こうして、東京でのヒーローとイフィニアドの戦いは終わりを迎えたのだった…。

シャンゼリオン「俺、またあいつと戦うのか? 勘弁してくれよ…」
ヤツデンワニ「でも、戦ってる銀色の人はかっこよかったよ!!」
シャンゼリオン「できれば女の子にそれを言われたかったぜ…」
セリック「しかし、ここでの被害もかなりの物だな…」
シャナルア「人の子一人いないわね…」
BLACK「みんな逃げた、または殺されたんですよ」
アバレッド「俺達は一生懸命みんなを守った…でも、守り切れなかった…!!」
AGE-3「酷い…これがイフィニアドとヴェイガンのやり方…あいつらを倒さないと、もっと被害が増えるんだ…!!」

すると、地上に着陸したディーヴァからAGE-1が降りてきた。

AGE-1「そうだぞ、AGE-3」
AGE-3「じいちゃん…」
AGE-1「イフィニアドもヴェイガンも、地球を滅ぼす悪魔、つまり、我々が倒すべき存在なのだ!」
AGE-3「だから、僕にGホッパーやGバイパーをくれたんだね」
AGE-1「そうだ、それはイフィニアドやヴェイガンを倒す力だ、そしてAGE-3、お前がそのイフィニアドやヴェイガンを倒すのだ!」
AGE-3「分かったよ、じいちゃん! 僕、やるよ!!」

その言葉を聞いたAGE-1は着陸させていたディーヴァの方へ去って行った。

アバレッド「ねえねえ、さっきの人って、地球統合軍の元司令官、ガンダムAGE-1さんだよね?」
AGE-3「はい、そうです」
ギンガ「AGE-3は、そのAGE-1さんのお孫さんなんですよ」
アバレイエロー「じゃあ、AGE-3くんは結構凄い子なんじゃん!」
AGE-3「別にそんなにかしこまらなくっても大丈夫です、今まで通りに接してください」
ZO「人ができてる子じゃないか」
アバレブルー「でも、さっきのAGE-1さんの言い方はちょっと気になったな」
AGE-3「え? 何がですか?」
アバレブルー「確かに、俺達はイフィニアド達と戦っていたが、地球を滅ぼす悪魔とまでは思った事がない」
AGE-3「え? でもイフィニアドは色んな人を傷つける、悪魔じゃないですか」
アバレブルー「じゃあ、逆に聞くぞ、お前はイフィニアドに洗脳されている怪獣についてもそう思うのか?」
AGE-3「え…そ…それは…」

今まではイフィニアドやヴェイガンは全員敵と思っていたAGE-3だったが、今回洗脳されていたヤツデンワニのような存在を見て、全てが敵だと思えなくなっていた。

ナイト「イフィニアドは確かに悪い存在だが、構成員全てが悪い奴じゃない事だけは確かだ、それだけは覚えておくんだな」
AGE-3「はい、覚えておきます」

その後、ヒーロー達とディーヴァ隊の話し合いの結果、ヒーロー達はディーヴァ隊と行動を共にする事となった。

アバレッド「わざわざすみません、無理に乗せていただいて…」
セリック「別に構わないさ、君達も度重なる戦いで体がボロボロだろ? そんな君達を放置するわけにもいかないし」
BLACK「とにかく、しばらく俺達は絶対安静と言う訳か…」
ギンガ「ついでに俺も絶対安静だな」
アリア「しばらくはあたしとアビス隊の人達で戦うしかないわね」
AGE-3「そう言えば、次はどこに行くんですか?」
セリック「次はオーブに行くらしいぞ、一旦民間人を預けるらしい」
ナイト「あそこなら、預かってくれそうだな」
セリック「いつまでもこの艦に乗せておく訳にもいかないしな」
シン「これから戦いになるだろうし、それがよさそうだな」

それからしばらくすると、ディーヴァの発進準備が整った。

セリック「さて、そろそろ発進するらしい、準備はいいな?」
龍騎「もちろんだぜ!」
アバレッド「行きましょう! オーブへ!!」

こうして、ディーヴァはオーブ連合首長国へと向かって行った。

2100年11月26日、中立国であるオーブ首長連合国では、オーブ軍とアークエンジェル隊がイフィニアド、ヴェイガン連合と戦っていた。レギュラン星人、ドラド、ウルフ星人、カーリー星人が率いる大部隊が。オーブの陸地を次々と火の海に変える中、前大戦の英雄ストライクフリーダムガンダムインフィニットジャスティスガンダムを中心に迎撃作戦を始めていた。だが、イフィニアドは例に漏れず、キングジョーブラックやレギオノイドと言った機動兵器でオーブ軍とアークエンジェル隊を攻め立てていた。その圧倒的な物量には、いくら前大戦の英雄と言えど、苦戦は必須だった。

アカツキ「ったく! 馬鹿げた数だな!!」
ストライクルージュ「文句を言ってる場合か! このままだとオーブが火の海になる!! 私は、もうあの時みたいな事を繰り返したくないんだ!!」

オーブ首長連合国は、4年前の地球統合軍とザフト軍の戦争や、2年前の地球統合軍とザフト、コスモ・バビロニア連合軍との戦争で国を焼かれ、多くの犠牲者が出ている為、ストライクルージュは2度とオーブを焼かせたくないのである。

ストライクフリーダム「…分かったよ、ルージュ、僕達が何とかしてみせる」
ストライクルージュ「フリーダム…」
インフィニットジャスティスガンダム「俺も手伝うぞ、フリーダム、俺も、もうあの時みたいな事はこりごりだ」
ストライクフリーダム「ありがとう、ジャスティス」

そして、2人のガンダムは敵の方へ向かって飛翔した。その際、2人はSEEDを発現させた。SEEDを発現させると、動体視力や反射能力などの各種感覚が飛躍的に強化されるのだ。

レギュラン星人「あいつら、たった2人で何をする気だ?」

すると、ストライクフリーダムはドラグーン以外のすべての射撃武器を一斉射した。その攻撃は多数のイフィニアドの機動兵器に全て的確に命中し、多数の機動兵器が爆散した。それと同時にインフィニットジャスティスもハイパーフォルティスやシャイニングエッジ、ファトゥム-01で攻撃し、イフィニアドの機動兵器を破壊した、これによって、イフィニアドの機動兵器はあっという間に全滅した。

カーリー星人「機動兵器が全機大破…だと!?」
ウルフ星人「そんな馬鹿な!!」
ストライクフリーダム「イフィニアド、ヴェイガンの両軍に告げます! 僕達はこれ以上無駄な争いを続けたくはありません! すぐに部隊を撤退させてください!」
ドラド「あいつ! 俺達に情けをかけるつもりか!!」
レギュラン星人「舐めた真似を! やれ!!」

ストライクフリーダムの言葉はイフィニアドとヴェイガンには通じず、イフィニアドとヴェイガンの残った兵士達は攻撃を続けた。

ストライクフリーダム「やはり彼らに僕の言葉は通じないか…!!」
アカツキ「フリーダム! ジャスティス! 後は俺達に任せな!!」

アカツキビームライフルオオワシに装備されたビーム砲を一斉射し、その攻撃は多数のイフィニアドとヴェイガンの兵士に命中した。

ストライクルージュ「オーブ全軍! 撃て!!」

ストライクルージュの掛け声と共に、オーブ軍の兵士であるM1アストレイやムラサメが一斉に射撃攻撃を放った。この攻撃により、残っていたイフィニアドとヴェイガンの全ての兵士と、部隊長であるレギュラン星人、ドラド、ウルフ星人、カーリー星人は倒された。こうして、フリーダムたちはオーブを守り抜く事に成功したのだった。

ヒルダ「終わったようだね」
アサギ「何とか生き残れた…」
ストライクルージュ「オーブ軍とアークエンジェル隊のみんな、ご苦労だったな、おかげさまでオーブを守る事ができた、感謝する」
ストライクフリーダム「………」
インフィニットジャスティス「どうした? フリーダム」
ストライクフリーダム「今、僕達がこうしてる間にも、世界中でイフィニアドとヴェイガンが各地を焼いているんだよね、だったら、僕達アークエンジェル隊もこの戦いを終わらせる為にオーブを出発した方がいいんじゃないかなって」
インフィニットジャスティス「確かに、そうかもな」
ストライクルージュ「お前達、行きたいなら行っていいぞ」
ストライクフリーダム「でも、僕達がいなかったら、オーブは…」
ストライクルージュ「何、こっちにはオーブの精鋭がいるんだ、簡単にはやられないさ」
ストライクフリーダム「ありがとう、ルージュ、じゃあ、僕達はしばらくここに滞在したら出発するよ」
ストライクルージュ「世界の事は頼んだぞ、フリーダム」

こうして、オーブ首長連合国での戦いは終結した。そして、前大戦の英雄達は、世界の為、出発する事を決めたのだった。

2100年11月27日、エリア・プラントでも、前大戦の英雄達が自分の故郷を守る為、イフィニアド、ヴェイガン連合と戦っていた。機動兵器こそいなかったものの、その物量に苦戦していた。

マシュー「くそっ! 1人で10体倒せば行けるとはとは言ったものの、この数は流石に無理があるぜ!!」
デュエル「弱音を吐くな! 俺達の後ろには、プラント国民がいるのだぞ!!」
バスター「とは言っても、この数は流石にキツいぜ!!」

エリア・プラントを攻撃しているのは、怪獣や怪人、MS族たちであり、その物量で、ザフト兵を次々と倒していた。もはや、突破されるのも時間の問題であった。

ミハイル「まずいな…このままでは…」
ハイネ「このおっ! これ以上進ませるかよッ!!」
オロール「俺達の故郷に進ませてたまるか!!」

すると、どこからか一筋のビームが放たれ、エリア・プラントに侵入しようとしていたペスターを撃ち抜き、倒した。

デュエル「今の射撃、誰だ?」

先ほどのビームが放たれた方を見てみると、そこにいたのは地球統合軍だった。約20名ほどの部隊の中でひときわ目を引く2体のMSがいた。それは、赤い体色が特徴のソードカラミティと、ガンバレルストライカーを背中に装備したガンバレルダガーだ。

ソードカラミティ「危ない所だったな、大丈夫か?」
ミハイル「助かった…感謝する…」
ガンバレルダガーたまたまこの辺の哨戒任務をしていたら、まさかイフィニアドとヴェイガンに出くわすとわな」
ソードカラミティ「じゃあ、ちゃちゃっと倒しますか!」

そう言ってソードカラミティは2本のシュベルトゲベールを両腕に持ち、イフィニアドとヴェイガンの兵士を片っ端から斬り倒して行った。

ソードカラミティ「お前らの血でまた体が汚れちまうぜ!!」

ガンバレルダガーも負けじと有線式ガンバレルでイフィニアドとヴェイガンを攻撃した。

ガンバレルダガー「さて…こいつをかわせるかな?」

イフィニアドとヴェイガンの兵士は有線式ガンバレルを回避できず、次々と撃ち倒されていった。

バスター「あの2人凄いな、とてもナチュラルとは思えないぜ」
デュエル「俺達も負けていられない! やるぞ!!」

ザフト兵たちも2人のMS族に負けじと気合を入れ直した。そして、近づく敵は斬り倒し、遠くにいる敵は撃ち倒し、一気に数が減っていった。

デュエル「もう少しだ! やるぞ!!」

デュエルガンダムはシヴァを斉射し、イフィニアド兵を次々と撃ち倒した。

バスター「ビンゴ!!」

バスターガンダムは高エネルギー収束火線ライフルを撃ち、ヴェイガンの兵士を次々と倒して行った。

ソードカラミティ「そっちも中々やるじゃん!」
デュエル「当たり前だ! こっちはザフトの精鋭だぞ!!」
ソードカラミティ「じゃあ、地球統合軍の精鋭の実力を見せましょうかね!!」

ソードカラミティは2本のシュベルトゲベールで残ったイフィニアドとヴェイガンの兵士を次々と斬り裂いて行った、その姿はまるで時代劇の主人公のようだった。

ハイネ「相変わらず凄いね~」

すると、敵わないと見たのか、残ったイフィニアドとヴェイガンの兵士は撤退していった。こうして、エリア・プラントを無事守り切る事に成功したのだった。

ソードカラミティ「こんな所で命を無駄にして…」
デュエル「協力感謝する、お前達が来なければどうなっていたか…」
ガンバレルダガー「何、このご時世だ、助け合うのは当然だろう?」
デュエル「フッ、そうだな…」
ハイネ「それより、さっき逃げた奴ら、また襲ってこないかね?」
ソードカラミティ「あれだけコテンパンにやっつけたんだ、もう襲ってこないだろ」
バスター「それより、あんたの姿…」

ソードカラミティの全身は、敵の返り血で真っ赤だった。体色は元から赤ではあるが、更に真っ赤に染まっており、非常に恐ろしい見た目である。

ハイネ「確かに、その姿を見たら恐ろしくてもう来ないわな」
ソードカラミティ「俺、そんな怖い奴じゃないんだけどな…」
デュエル「しかし、イフィニアドとヴェイガン…俺達ももっと対策しないといけないな…」
バスター「そうだな、やることがいっぱいで疲れるぜ…」
デュエル「甘ったれるな! 俺達は国民を守らないといけないんだぞ!!」
バスター「分かったよ…」

こうして、エリア・プラントでの戦いも終結した。コーディネイターナチュラル…この2つの種族はかつては争っていたが、イフィニアドとヴェイガンと言う共通の敵を前にして手を取り合って戦う事ができたのだ。これからこの2つの種族はどう歩んでゆくのだろうか…。

2100年11月28日、日本の小さな町、あけぼの町では、3人の魔弾戦士たちがツルク星人とベル星人率いるイフィニアド部隊と戦っていた。サポートメカである獣王を全て破壊された魔弾戦士たちは、窮地に立たされていた。

ゴッドリュウケンドー「くっ! 大勢でたった3人を痛めつけるなんて卑怯な!!」
ツルク星人「卑怯もラッキョウもあるかっての! 勝てばいいんだからな!!」
マグナリュウガンオー「お前達に常識を教えるのは無理がありそうだな」
ベル星人「お前達から学ぶものなんてねーよ」
リュウジンオー「なら教えてやる、正義は絶対に勝つって事をな」
ゴッドリュウケンドー「そうだ! 正義は絶対に勝つんだ!!」
ツルク星人「うるせえぞ! やっちまえ!!」

ツルク星人の命令で、イフィニアド部隊が総攻撃を始めた。

ゴッドリュウケンドー「ライトニングキー! 発動っ!!」
ゴッドゲキリュウケン「チェンジ、ライトニングリュウケンドー
ゴッドリュウケンドー「超雷電武装!!」
ライトニングリュウケンドー「ライトニングリュウケンドーライジンッ!!」

ゴッドリュウケンドーはゴッドゲキリュウケンにライトニングキーを差し込み、発動させ、ライトニングリュウケンドーに超雷電武装した。

ベル星人「そう言えば、貴様だけは姿を変える事ができるんだったな、だが、姿が変わった程度で勝てると思うな!!」
ライトニングリュウケンドー「うるせえ! こう言うのは気合が大事なんだ、気合が!!」
ツルク星人「訳分かんねえんだよ!!」
ライトニングリュウケンドー「ファイナルキー! 発動っ!!」
ゴッドゲキリュウケン「ファイナルクラッシュ」
ライトニングリュウケンドー「ゲキリュウケン爆雷斬り!!」

ライトニングリュウケンドーはゴッドゲキリュウケンにファイナルキーを差し込み、発動させ、必殺技のゲキリュウケン爆雷斬りを放った。その威力はすさまじく、イフィニアドの部隊を一気に爆散させた。

マグナリュウガンオー「こっちも行くぞ! マグナドラゴンキャノン…発射!!」
リュウジンオー「ザンリュウジン…乱舞!!」

マグナリュウガンオーリュウジンオーもそれぞれの必殺技であるマグナドラゴンキャノンとザンリュウジン乱舞を放ち、イフィニアドの部隊を次々と撃破した。

ツルク星人「何て事だ…!!」
ベル星人「我々は魔弾戦士を甘く見ていたようだ…」
ライトニングリュウケンドー「違うぜ! 正義の力を甘く見ていたんだ!!」

いつの間にか部隊を全滅させた魔弾戦士たちは、部隊長であるツルク星人とベル星人の2人と対峙していた。

ツルク星人「くっ! ここは撤退を…」
リュウジンオー「させるかっ! ザンリュウジン…乱撃!!」

リュウジンオーはザンリュウジン乱撃を放ち、ツルク星人とベル星人を攻撃した。

ベル星人「ぐわあああああっ!!!」
ツルク星人「馬鹿なぁぁぁぁぁっ!!!」

ツルク星人とベル星人は爆散し、倒された。こうして、魔弾戦士たちは、あけぼの町を守る事に成功したのだ。

マグナリュウガンオー「終わったな」
ライトニングリュウケンドー「ふー、流石に疲れたな…魔物コロッケ食いてえ…」
マグナリュウガンオー「安心するのはまだ早いぞ、イフィニアドがいる限り、きっと再び攻めてくる」
ゴッドゲキリュウケン「だが、これ以上は我々だけではこの町を守り切れないかもしれない…」
リュウジンオー「地球統合軍は他の地域での戦いで援軍は期待できないしな」
ライトニングリュウケンドー「だったら、俺達が守ればいいだけだ! な、おっさん!!」
マグナリュウガンオー「おっさん言うな! 俺はまだ27だ!!」

こうして、あけぼの町に攻めてきたイフィニアド部隊も3人の魔弾戦士によって倒された。かつて魔人軍団ジャマンガと戦った魔弾戦士たちは、ジャマンガが滅びた後もイフィニアドやヴェイガンからあけぼの町を守る為、日々戦うのだ。

2100年11月30日、キノコ王国では、ケムール人率いる100体ほどの機動兵器群がキノコ王国クッパ軍団同盟軍を襲っていた。その火力は、キノピオクリボー、ノコノコでは到底太刀打ちできず、次々と蹴散らされていった。

マリオ「くっ! 何てパワーだ!!」
クッパ「パワーなら、吾輩も負けんぞ!!」

そう言って、クッパはイフィニアドの機動兵器を次々と薙ぎ倒していった。流石にクッパ軍団を率いているだけあり、ノコノコとは格が違っていた。

ケムール人「あいつ、厄介だな、先に倒しておくか…」

ケムール人は機動兵器群にクッパを総攻撃するように伝えた。すると、機動兵器各機はクッパに狙いを定め、ビームやミサイルで総攻撃した。

クッパ「ぐおっ!? き…貴様…! 卑怯な…!!」
ケムール人「知った事か! 勝てばいいんだよ、勝てばな!!」

流石のクッパと言えど、この攻撃には耐えきれず、少しずつ弱っていった。

クッパ「う、うぬぬぬぬ…!!」
ケムール人「キノコ王国側なんかに付かずに、俺達イフィニアド側に付けば、最初からこんな目に合わずに済んだのに、馬鹿な奴だ」
クッパ「誰がお前達の味方をするものか! キノコ王国には、ピーチ姫がいるのだからな!!」
ケムール人「たかが女一人の為に、何故そこまで!!」
クッパ「お前達イフィニアドには分かるまいな! 愛と言う感情は!!」
マリオ「それと、友情と言う感情もな!!」

そう言ってマリオはクッパを攻撃している機動兵器群を必殺技であるマリオファイナルで吹き飛ばした。

クッパ「マ…マリオ…何故…!?」
ケムール人「馬鹿な! 奴らは敵対しているはずでは!? 何故、敵を助ける真似をするのだ!?」
マリオ「まだ分からないか? 僕達は既に敵同士を超えた存在、ライバル同士なんだ! その決着を、こんな所で付けさせはしない!!」
クッパ「そうだったな、マリオ、これは借りにしておくぞ」
ケムール人「わ…訳が分からん! ええい! やれ! やれーっ!!」

ケムール人の合図で、イフィニアドの残った機動兵器群は総攻撃を仕掛けてきた。

ヨッシー「残りは、50機ぐらいでしょうか?」
ルイージ「よし! 僕も頑張るぞ~!!」

キノコ王国クッパ軍団同盟軍は、マリオとクッパの友情を見て、全員が燃え上がっていた。そして、その勢いのまま機動兵器群に突撃して行った。それまではパワーで押し負けていたキノピオクリボー、ノコノコですらも今ではイフィニアドの機動兵器群に押し勝っていた。

ケムール人「な…何だと…!? 何故、我々が負けているのだ!?」
クッパ「吾輩とマリオのライバル関係を見て、闘志に火が付いたのだ!!」
マリオ「そうだ! そしてこの戦い、お前の負けだ! おとなしく降参しろ!!」
ケムール人「まだだ! このまま引き下がれるか!!」

そう言ってケムール人はマリオに襲い掛かった。

マリオ「行くぞ! クッパ!!」
クッパ「任せろ! マリオ!!」

マリオとクッパはマリオファイナルとクッパブレスを同時に放った。その炎は、ケムール人を一瞬で焼き尽くした。

ケムール人「ぐわあああー--っ!!!」

ケムール人は爆散して倒された。それと同時に、最後のイフィニアドの機動兵器も破壊され、この戦いは終わった。こうして、キノコ王国クッパ軍団の同盟軍は、キノコ王国を守り抜いたのだった。

ルイージ「兄さん! 何とかこっちは終わったよ」
マリオ「ルイージ、こっちも丁度終わったところさ」
ヨッシー「大変でしたね、マリオさん」
マリオ「ああ、まさかキノコ王国にまで攻めてくるなんてな」
クッパ「吾輩たちも、今後の対策を練らねばならんな」
マリオ「そうだな、とりあえず、ピーチ城に戻って会議をしよう」
ヨッシー「そうですね」
ルイージクッパ、ピーチ姫を攫ったりしないでよ?」
クッパ「もちろんだ、今はそんな事をしている状況ではないからな」
マリオ「じゃあ、早速ピーチ城に戻ろう!」

そして、マリオ達はピーチ城に戻っていった。かつては敵同士だった者たちが一つの戦いを得て友情に近い関係を持ち、共に共通の敵と戦う。そうして最後はキノコ王国を守り抜いたのであった。

2100年11月27日、アグリッサ平原近辺の警戒任務を受けていたセイバークルーザー隊は、メンバーを分け、アグリッサ平原各地で警戒任務に当たっていた。その中でも、レイニールの街近くで警戒任務に当たっていたドラゴニュートとカイト、イオナとファヴール、アイラの5人は警戒しつつ、色々な話をしていた。

カイト「暇だな」
ドラゴニュート「確かに暇だけど、これも仕事だしな」
イオナ「カイトさん、真面目にやってください」
カイト「悪い悪い」
アイラ「でも、もしここにイフィニアドが現れたら、私達だけで相手をするんですよね?」
カイト「大丈夫! 俺達が一気に蹴散らしてやるさ!!」
イオナ「その為に、武器も綺麗に磨きました」
ドラゴニュート「だから、安心していいぞ」
アイラ「皆さん…ありがとうございます!」

すると、人工精霊であるファヴールは何かを察知した。

ファヴール「皆さん、何か来ます!!」
ドラゴニュート「一体何が来るんだ? ファヴール」
ファヴール「分かりません…けど、とても恐ろしい物が来ます…」

すると、ファヴールに続いてカイトも何かを察知した。

カイト「この感覚は…!!」
アイラ「何!? 何ですか!?」
ドラゴニュート「分からない…けど、嫌な予感がするのは確かだ…!!」

すると、上空から黒い火の玉のようなものが落下し、レイニールの街の中心部に落下、大爆発を起こした。

ドラゴニュート「な…何だよ、今の!?」
カイト「嫌な予感がする! 俺は先に行くぞ!!」
ドラゴニュート「ちょ…待てよ!!」

ドラゴニュート達はカイトを追ってレイニールの街の爆発地点まで向かった。その爆発地点周辺の被害は凄まじく、周囲は完全に崩壊していた。そして、その爆発地点の中心には何者かがいた。その存在を、カイトはよく知っていた。

カイト「この感覚…やっぱりてめえか! ダークシャドウ!!」
ダークシャドウ「久しぶりだな…カイト…」

このダークシャドウと言う男は、カイスマ界に現れた悪の戦士であり、カイトの故郷を滅ぼした張本人でもある。幾度となくカイトに倒されたが、その度に復活している。

カイト「こんな事をして、何のつもりだ! ここの人達には何の恨みもないはずだろ!!」
ダークシャドウ「んな事知るか、俺様が降臨するにはここが邪魔だっただけだ」
カイト「…やはりお前は変わってないな、俺の故郷を滅ぼしたあの時から!!」

そして、一足遅れてドラゴニュート達もカイトに追いついた。

ドラゴニュート「カイト、あいつは何者だ?」
カイト「あいつは…! あの野郎は…!! 俺の故郷を滅ぼした奴なんだ!!」
ドラゴニュート「何!?」
ファヴール「つまり、あの人も異世界から来たんですね」
カイト「でも、俺達と違ってあいつは恐ろしい敵だ! だからこそ、こいつはここで倒さないと駄目なんだ!!」
ダークシャドウ「笑わせるな、今のお前に俺が負けるかよ」
カイト「俺は負けない、仲間がいる限りな!!」
ドラゴニュート「でも、たったの5人で勝てるのか?」
???「5人じゃないわ、6人よ」
ドラゴニュート「君は?」

そこにいたのは、長い黒髪と透き通った青い瞳が特徴の少女だった。お腹や太ももなどが露出した動きやすそうな服装なので、武闘家の少女だと思われる。

ダークシャドウ「誰だ、てめえは」
???「私はレイラ・フローニング、あんたが潰した家に住んでた武闘家よ」
ダークシャドウ「そうか、だからどうした」
レイラ「そこには私の家族がいた、それをあんたが吹き飛ばしたのよ!!」
ダークシャドウ「なら、礼を言え、ありがとうございましたってな!!」
レイラ「…許せない! そこの5人、私も一緒に戦うわ! いいわよね?」
ドラゴニュート「もちろんだ! 一緒にあのゲス野郎を叩き潰そう!!」
カイト「ダークシャドウ! 今度こそ…今度こそ叩き潰してやる!! 食らえ! 破壊ブラスター!!」

カイトは先手必勝とばかりにマスターガンから破壊ブラスターを放った。だが、ダークシャドウはひらりと回避した。

ダークシャドウ「遅いな」
カイト「まだまだ! ファイヤーキーック!!」

カイトは炎を纏った飛び蹴り、ファイヤーキックで攻撃した。

ダークシャドウ「デスシウム光線!!」

ダークシャドウウルトラマンベリアルの技、デスシウム光線を放った。そして、空中にいるカイトを撃ち落とした。

カイト「うあっ!!」
ドラゴニュート「カイト! 大丈夫か?」
カイト「ああ、何とかな」
アイラ「でも、今の技、ウルトラマンの光線の発射ポーズに似てましたよね?」
カイト「あいつは、色々な悪者の技が使えるんだ」
レイラ「えっ!? そんなの反則でしょ!?」
カイト「だからこそ、ここで倒さないといけないんだ!!」
ドラゴニュート「分かった! 絶対に倒そう!!」
カイト「ああ!!」
ダークシャドウ「無駄だと言うのに…」
ドラゴニュート「食らえ! ライトニング!!」
イオナ「ウインド!!」

ドラゴニュートは雷魔法のライトニングを唱え攻撃し、イオナは風魔法のウインドを唱えて攻撃した。

ダークシャドウ「無駄だ」

ダークシャドウはドラスの技、マリキュレイザーを放ち、ライトニングの電撃とウイングの風を迎撃した。

ファヴール「あれはネオ生命体ドラスの技…!!」
レイラ「でたらめな奴ね! ナックルラッシュ!!」

レイラはダークシャドウにパンチを連続で放った。

レイラ「トドメよ! スクリューキック!!」

とどめの一撃に回し蹴りを食らわせた、しかし、ダークシャドウには効いていなかった。

ダークシャドウ「蚊に刺されたほども感じなかったな…小娘よ…」
レイラ「そんな! 私の自慢の技が通用しないなんて!!」
ダークシャドウ「ほう…あれが自慢の技か…笑わせてくれる…」

ダークシャドウはレイラにとどめを刺せようと剣を振り上げた。

ドラゴニュート「させるかっ!!」

ダークシャドウの振り下ろした剣をドラゴニュートはスティールソードで受け止めた。剣から伝わって来る悪のオーラの強大さにドラゴニュートは身震いしていた。

ドラゴニュート「何てオーラだ…!!」
ダークシャドウ「小僧…悪の力はいいぞ? 貴様も悪の道に落ちんか?」
ドラゴニュート「誰が悪の道に落ちるか! 俺は正義の為に戦うんだ!!」
ダークシャドウ「そうか…残念だな…」

ダークシャドウは剣で防御するドラゴニュートを蹴り飛ばした。

ファヴール「マスター!!」
ドラゴニュート「大丈夫だ、だが、奴の力…」
ファヴール「強大ですね…私にも十分伝わってきます」

すると、ドラゴニュートの持っていたスティールソードの刀身が折れた。どうやら、さっき剣を受け止めた衝撃でヒビが入っていたらしい。

ドラゴニュート「お…俺の剣がッ…!!」
レイラ「よほどの衝撃だったのね」
アイラ「あんな相手、どうすれば勝てるんでしょうか…」
ダークシャドウ「勝てるわけがないだろう? 今降参すれば俺様の奴隷にするだけで済ませてやろう」
レイラ「誰があんたの奴隷になんかなるもんですか!!」
イオナ「私達は最後まで戦います!!」
カイト「そう言う事だ、分かったか!!」
ダークシャドウ「分からんなぁ…何故抵抗するのかが…」
ドラゴニュート「お前みたいな悪党には分からないだろうな!! 俺達はみんな守りたいものの為に戦っているんだ!! だから、最後まで諦めずに戦えるんだ!!」
ダークシャドウ「くだらん…本当にくだらんぞ!!」

ダークシャドウはシャドームーンの技、シャドービームで広範囲を攻撃した。

ドラゴニュート「みんな! 俺の近くに集まれ!!」

その声を聞いて他の5人はドラゴニュートの周りに集まった。

ドラゴニュート「魔導障壁、展開ッ!!」

展開した魔導障壁はドラゴニュートとその仲間全員を守り、シャドービームの攻撃に耐えきった。

ダークシャドウ「ほう…魔法のバリアか…」
カイト「助かったよ、ドラゴニュート
ドラゴニュート「だが、この防御方法は魔力をかなり消費するから、あまり何度も使えない…」
カイト「だったら、その前にあいつを倒せばいいだけだ!!」
イオナ「そうですね」
レイラ「じゃ、一気に行っちゃお!!」
カイト「破壊ブラスター!!」
イオナ「サイクロン!!」
ドラゴニュート「サイクロンエッジ!!」

カイトは破壊ブラスターを放ち、イオナは上級風魔法のサイクロンを唱えて攻撃し、ドラゴニュートは中級風魔法サイクロンエッジを唱え攻撃した。

ダークシャドウ「無駄だ」

ダークシャドウゼットンの技、ゼットンシャッターで防御した。

ファヴール「あれは、宇宙恐竜ゼットンの…!!」
ドラゴニュート「あんなものまで使えるのか!?」
ダークシャドウ「だから言ったろう? 無駄だと」
ドラゴニュート「俺達の技が、ことごとく通用しないなんて…!!」

ドラゴニュート達は自分たちの技がどれも通用しない為、どうやって攻撃すればいいか悩んでいた。

ドラゴニュート「どうすればあいつを倒せるんだ…どうすれば…!!」
カイト「…一か八か、あの技を放ってみるか…!!」

カイトはダークシャドウに向かって走り出した。

ドラゴニュート「カイト!!」
カイト「マグニウムバーストォォォォォ!!!」

カイトはダークシャドウを異空間に吹き飛ばし斬り裂く大技マグニウムバーストを放とうとした、しかし、その技はダークシャドウには当たらず、後ろに回り込まれた。

カイト「何ッ!?」
ダークシャドウ「あの時と同じようにはいかんぞ? カイト…」

そして、ダークシャドウはカイトの腹部を剣で貫いた。

カイト「がはッ!!」
ドラゴニュート「カイトッ!!」
イオナ「カイトさん!!」

腹部を貫かれたカイトは地面に倒れ込んだ。カイトを倒したダークシャドウは満足そうに笑っていた。

ダークシャドウ「だから何度も言ったではないか、無駄だと」
ドラゴニュート「貴様ァァァァァッ!!!」

ドラゴニュートは怒りの感情を爆発させた。その怒りの感情はオーラとなってドラゴニュートの体を赤く輝かせた。すると、ドラゴニュートの背中から黒い龍の翼が生えた。その姿は龍と人が融合した龍人族のようであった。

アイラ「な…何ですかあれ!?」
レイラ「あの人、人間じゃないの?」

そして、ドラゴニュートは右掌に光のエネルギーを集め、最強の光魔法ライトブラストを放った。

ドラゴニュート「ライトッ…ブラストォォォォォッ!!!」

ドラゴニュートの右掌から強力な光のビームが放たれ、そのビームは瞬く間にダークシャドウを飲み込んだ。

ダークシャドウ「ぬわああああああっ!!!」

そして、ダークシャドウのいた場所は爆発した。

ドラゴニュート「はぁ…はぁ…」

魔力を使い切って疲れ果てたドラゴニュートは、気を失って地面に倒れ込んだ。それと同時に、背中に生えていた黒い龍の翼は消滅した。

ファヴール「マスター…お疲れ様です」

だが、爆風の中からダークシャドウが現れた。かなりダメージを負っている様子で、息も荒かった。

レイラ「嘘でしょ!? あれで生きてるの!?」
ダークシャドウ「へへっ…中々面白い奴じゃねえかよ…」
アイラ「ど…どうしましょう…」
ダークシャドウ「何、今回は撤退してやるよ、だが、今度はぶっ殺してやるから覚悟しろよ」

そう言ってダークシャドウは瞬間移動して去って行った。

ファヴール「助かりましたね」
レイラ「でも、ドラゴニュートの翼、何だったのあれ…」
アイラ「それより今は、カイトさんを手当てしないと!!」
イオナドラゴニュートさんは私とファヴールさんが様子を見ますので、そちらは頼みます!!」

幸い、カイトの腹部の傷は治癒魔法のヒールで治療可能な傷だった為、アイラがヒールで完全に治療した。一方のドラゴニュートはよほど疲れていたのか、アグリッサ平原の警戒態勢が解かれても目を覚ます事がなかった。そして、そうこうしているうちに地球の各地に出現したイフィニアドは全て撃退された。オーブ連合首長国も、エリア・プラントも、あけぼの町も、キノコ王国もかなりの被害を追ったが、何とか撃退したのであった…。今回のイフィニアドの作戦はかなり大掛かりな物だった為、地球全体に与えた影響は計り知れない。そして、イフィニアドの大掛かりな地球総攻撃作戦が終了してから一夜が明けた2100年12月1日、ドラゴニュートは自室のベッドで体力を回復させ、目を覚ました。

ドラゴニュート「う…うぅん…」
アイラ「おはようございます、ドラゴニュートさん」
ドラゴニュート「アイラ…それにファヴール…おはよう…って、ダークシャドウはどうした?」
ファヴール「ダークシャドウなら、マスターが追い払いましたよ、覚えてないんですか?」
ドラゴニュート「それが…途中からの記憶がないんだ、どうしたんだろうな、ははは…」
アイラ「そう言えばその時、ドラゴニュートさんの背中から黒い龍の翼が生えましたよ」
ドラゴニュート「何言ってるんだ? アイラ、そんな事あるわけないだろ?」
アイラ「そ…そうですね、すみません、夢を見てたようです」
ドラゴニュート「てか、今何時? 腹減ったんだけど…」
ファヴール「今は昼の12時36分ですね」
ドラゴニュート「じゃあ、飯にしようぜ、腹減ったな~」
アイラ「いいですね、何か食べましょう」

そして、ドラゴニュート達は少し遅めの昼食を取りに行った。一方、蒼乃たち残りのメンバーはシンヤ司令とモニターで会議していた。

シンヤ司令「セイバークルーザー隊のみんな、今回の任務、ごくろうだった」
蒼乃「と、言っても私達は何も…やったのはあの子達ですから」
シンヤ司令「いやいや、警備も大事な任務の一環だよ、蒼乃くん」
蒼乃「そ…そうですね…」
シンヤ司令「しかし、今回君達が戦った相手、異世界からの来訪者と聞いたが?」
カイト「あれは俺と同じ世界から来たダークシャドウと言う奴だ、元の世界では俺達カイスマメンバーと敵対関係にあった組織のリーダーだ」
シンヤ司令「つまり、一番強い奴が来ちゃったって訳か…」
カイト「あの野郎は逃げたらしいが、今度は負けねぇ! 絶対に倒してみせる!!」
シンヤ司令「分かったよ、我々もそのダークシャドウって奴には警戒しておくね」
カイト「頼んだぜ、シンヤ司令!」

シンヤ司令「そう言えば、ドラゴニュートくんの背中から翼が出たって聞いたけど…」
イオナ「私は確かに見ました、間違いありません」
デスティニー「イオナ以外にも目撃者はいるから、間違いないようです」
シンヤ司令「う~ん…オーラか何かじゃないかい? ほら、どっかのサッカーアニメみたいに必殺技を放つときにバーンと現れるような…」
ネクサス「まだそうとは断言できませんが、もし生えたんだとしたら一時的に進化したとか…」
シンヤ司令「一時的に進化…ねぇ…何かのゲームみたいだね、蒼乃くん、家族である君なら何か知ってないかい?」
蒼乃「いえ、何も知りません、私とドラゴニュート姉弟ですが、今までそのような能力があるとは知りませんでした」
流羽「私も、お兄ちゃんはどんなに怒っても翼なんて生えなかったよ」
シンヤ司令「と、なるとさっぱり分からないねぇ…」
イオナ「バイタルデータも人間と全く同じ数値でした」
シンヤ司令「う~ん…お手上げだねぇ…」
カイト「ちょっ…司令…」
シンヤ司令「仕方ないだろう? 僕は専門家じゃないんだ、とりあえず、何か分かったら報告頼むね」
蒼乃「分かりました」
シンヤ司令「じゃあね」

そう言ってシンヤ司令は通信を切った。通信が終わった後、蒼乃は困った様子で思っていた事を語りだした。

蒼乃「…ドラゴニュート…ならないとは思うけど、もしあの子が完全に龍になってしまったらどうしよう…」
流羽「大丈夫だよ、お姉ちゃん、だって、私のお兄ちゃんだもん!」
蒼乃「流羽…でもね、私は心配なのよ、あの子っていつも無茶するから…」
流羽「確かにそうだね、子供の頃はサインさんと一緒にタイショーとよく喧嘩してたもんね」
蒼乃「確かにそうだったわね、勝てないって分かってるのにね…でも、それでも、私は怖いのよ、あの子が完全に龍になるのが…」
流羽「大丈夫だよ! お兄ちゃんはお兄ちゃんのままでいるよ!」
エル姉「そうよ、蒼乃、あなたの弟を信じてあげて」
蒼乃「…そうね…そうよね…大丈夫よね…」

流羽とエルラインの言葉で蒼乃は少し落ち着いた。その様子を見た他のメンバーもほっとした様子だった。そして、蒼乃たちは会議室から去って行った。一方、食堂に来ていたドラゴニュート達はそこで意外な人に会っていた。

ドラゴニュート「あれ? レイラじゃん、どうしたんだ?」
レイラ「ドラゴニュート! 私もクロストライアルに入ったんだ、イフィニアドと戦う為にね、そうでもしないと死んじゃった私の家族や街のみんなに顔向けができないよ」
ドラゴニュート「そうだったのか…レイラの家族や街の人達を守れなくて本当にすまない」
レイラ「別に謝らなくていいよ、それに、あなたは私を守ってくれたじゃない」
ドラゴニュート「ああ、俺の剣が折れた時か…」
レイラ「あの時のドラゴニュートは凄くかっこよかったよ!」
ドラゴニュート「べ…別に…」
レイラ「照れちゃって~、ま、これからよろしくね!!」
ドラゴニュート「こちらこそよろしくな!!」
アイラ「そう言えば、何でレイラさんは会議に行ってないんです?」
レイラ「私って会議とか苦手だからさ、さっきまで特訓してたの」
アイラ「そ…そうですか…」
レイラ「それより、何か食べようよ、ね?」
ドラゴニュート「だな! 腹減った~」

その後、ドラゴニュート達は食事を始めた。今日の昼食は唐揚げ定食であり、美味しそうな匂いが食欲をそそった。ドラゴニュートはずっと気を失っており、空腹だった為か5分もしない内にペロリと完食してしまった。

ドラゴニュート「ごちそうさま!」
レイラ「食べるの早っ!!」
アイラ「この人、いつも食べるの早いですよ」
ファヴール「今日も安定して早かったですね」
レイラ「ちょっと~、早食いは健康上良くないわよ?」
ドラゴニュート「分かってるんだけど、やめられないんだよな」
アイラ「本当に困った人でしょ?」
レイラ「確かに」

ドラゴニュートの食事の早さにレイラ達は完全に呆れた様子だった。その頃、冥王星付近に待機しているインペリアルフォートレスではイフィニアドの幹部たちが会議を始めていた。

シャドームーン「今回の地球総攻撃作戦の失敗、皇帝陛下は何と仰っていた?」
ルシファー「あまり怒られてはおられないようだ、むしろ、獲物はこれぐらい抵抗した方が面白いと仰っておられた」
悠人「まあ、攻撃してればその内滅びるさ、地球人なんて」
ベリアル「負けて逃げ帰ってきた奴がよく言うぜ」
悠人「逃げたんじゃない、戦術的撤退さ」
ベリアル「フン、お前は本当に食えない奴だな」
シャドームーン「そう言えばルシファーよ、新たな協力者を見つけたと言っていたな」
ルシファー「ああ、今から紹介しよう、彼だ」

そう言って現れたのは、ダークシャドウだった。

ダークシャドウ「ここがイフィニアドの本拠地か、俺様にぴったりじゃねぇか」
ベリアル「貴様、何者だ?」
ダークシャドウ「俺様はダークシャドウ、カイスマ界から来た」
悠人「カイスマ界? 異世界かな?」
ダークシャドウ「そうだ、俺様はその世界から来た」
悠人「そうか、今度異世界について色々聞かせて欲しいね」
ダークシャドウ「ああ、いつでも聞かせてやる」
シャドームーン「この男…中々の闇の力を持っているな…」
ダークシャドウ「勿論だ、闇の力こそ全てを支配する力だからな!」
ベリアル「全てを支配する力か…そりゃ最高だな!」

新しいメンバーのダークシャドウは、すぐに周りに溶け込んでいた。元々悪の組織のリーダーなだけあって、イフィニアドとの相性も抜群なようだ。

ルシファー「なお、ダークシャドウは新たな四天王として皇帝陛下に任命された、くれぐれも問題は起こさぬようにな」
ダークシャドウ「分かっている」
悠人「了解、分かったよ」
シャドームーン「これでようやく四天王が全員揃ったな」
悠人「前の四天王の一人が抜けてずっと三天王だったからね」
ダークシャドウ「ところでルシファーさんよォ…次の任務はどうなってる?」
ルシファー「皇帝陛下は何とも仰っていなかった、どうやらしばらく準備期間に入るらしい」
ダークシャドウ「なるほどな、じゃあ、俺は傷を癒すとするか…」
ルシファー「よし、今回の会議はここまでだ、各自解散」

こうして、地球総攻撃作戦と言う大掛かりな作戦は終了した。

イフィニアドの地球総攻撃作戦が終了して1週間が経った2100年12月7日、それからと言うもの、地球上でのイフィニアドの活動が少なくなった。もちろんそれは非常にいい事ではあるが、あれだけ大きな活動をしていたイフィニアドが急に大人しくなったとなると、何か大きな事のある前触れである事は分かっていた。それに対し、クロストライアル及び地球統合軍は警戒態勢を取ると共に、地球総攻撃作戦で傷ついた傷を癒す為、休息を取る事になった。もちろん、休息を取る時も警戒態勢を取ると言う条件付きではあるが。そして、その命令はセイバークルーザー隊にも届いていた。そのセイバークルーザー隊の様子はと言うと、警戒任務を取る組と休息を取る組に分かれ、その順番を日付ごとに決めると言う決まりで休息を取っていた。そして、その休息を取っているメンバーの様子はと言うと、一つの戦いを終えて安心しきったのか、かなり怠けた様子であった。そのメンバーの一人であるドラゴニュートはカイト達と共に自室で特撮を見ていた。

カイト「なあ、ドラゴニュート、この特撮面白いな」
ドラゴニュート「だろ? 俺のお気に入りなんだ」

ドラゴニュートのお気に入りの特撮と言うのは、裂空騎士マッハブレードと言う作品である。この世界ではかなり人気の作品であり、マッハソード、マッハセイバー等、多数のシリーズがある。マッハブレードはその中でも放送当時から特に人気が高く、放映から15年近く経つが、今でも裂空騎士シリーズの中で一番の人気を誇っている。主演の俳優がイケメンで女性人気もある他、主題歌やキャラクター人気も高い作品である。ドラゴニュートはこの作品を幼少期から気に入っており、この作品を人生のバイブルだと語っている。ちなみに、現在再生に使用しているBlu-rayは蒼乃の私物であるが、特別に借りているのだと言う。また、蒼乃はこの作品の主演俳優が好きな為、購入したとの事。

カイト「こんな面白い作品が観れるなんて最高だぜ!!」
ドラゴニュート「そうだろうそうだろう」
イオナ「2人とも、のん気ですね…」
レイラ「でも、この主演の俳優さん、凄くイケメンだね」
アイラ「確かに、かなり整った顔立ちだと思います」
イオナ「あれ? 2人とも知らないんですか?この人凄い有名な俳優さんですよ」
レイラ「そうなの? あまり俳優とか気にしないから…」
ファヴール「私のデータベースにも情報が載っています…名前は…」
ドラゴニュート「セイ・カンナギ!当時このマッハブレードで大ブレイクして、今でも活動している大物俳優だよ、ちなみに配偶者はイネ・カンナギ、こっちもかなりの美人さんで、結婚当初は最強カップルとか言われてたっけ…」
イオナ「…ドラゴニュートさんって、そんなに芸能界の事詳しかったですっけ?」
ドラゴニュート「いや、特撮に出演してる俳優さんの事しかあまり詳しくないよ」
レイラ「やっぱり!」
アイラ「そうだと思いました…」

一方、テレビの画面の中ではマッハブレードが必殺技の裂空疾風斬で、怪人を一刀両断し、爆散させていた。

カイト「お! マッハブレードが怪人倒した!!」
ドラゴニュート「かっこいいだろ? あ、ちなみに今倒した怪人は、スパイダロスって名前な」
カイト「詳しいな、ドラゴニュート
ドラゴニュート「マッハブレードの事なら、俺が世界一詳しいぜ!」
カイト「しっかし、こうして一緒に特撮を観る仲間ができるのは嬉しいな…」
イオナ「そう言えばカイトさん、アルスマ界でも誰かと一緒にアニメか何かを観たって言ってませんでしたっけ?」
カイト「ああ、アルスマ界の方のドラゴニュートと一緒にドラゴニュートが録画した深夜アニメとか特撮観てたよ」
ドラゴニュート「なあ、そのアルスマ界? にいたドラゴニュートはどんな感じだったんだ?」
レイラ「はいはい! 私も聞きたい!」
アイラ「私も」
カイト「仕方ねぇなぁ…まあ、簡単に言うと、この世界のドラゴニュートより髪が短くて、顔が男性寄りで、体つきもしっかりしていて、鋼の剣と盾を装備してて、服装も鎧っぽい物を着込んでた感じだったよ」
ドラゴニュート「う~ん、つまり、俺がより男らしくなった、って感じでOK?」
カイト「まあ、そんな感じだよ」

その話を聞いたレイラは、ふと思っていた事を口にした。

レイラ「そう言えばドラゴニュートって、女物の服着たらまんま女の子だもんね」
ドラゴニュート「よく言われるよ、実際子供の頃はよく女の子と間違えられたし」

そして、その話を聞いたイオナはふとある事を思いついた。

イオナドラゴニュートさん、私の予備のメイド服着てみます?」
ドラゴニュート「え? 嫌だよ…」
レイラ「まあまあ、そう言わずに…」
アイラ「一回でいいから、一回で」
ドラゴニュート「ちょっ! よせ! ファヴール!助け…」
ファヴール「行ってらっしゃいませ、マスター」
ドラゴニュート「この薄情者~!!」

ドラゴニュートはレイラ達に引きずられながら部屋を出て行った。

カイト「可哀想に」

そして、10分ほどすると、ドラゴニュートの部屋の扉が開く音がした。そこには、さっき退出したメンバーと、メイド服を着せられたドラゴニュートが混じっていた。その姿を見たカイトは、どこのだれか分からず、首を傾げた。

カイト「えっと…誰?」

ドラゴニュートは、メイド服を着せられ、髪も綺麗に整えられていた。顔も綺麗に化粧をさせられていて、背は周りの女性陣に比べると高かったが、完全に女性だった。

アイラ「似合ってますよ、ドラゴニュートさん」
カイト「え? この子、ドラゴニュートなの!?」
レイラ「似合ってるわよ、ドラゴニュート
ドラゴニュート「う…うるせえ! 大体お前ら、化粧までしやがって…」
イオナ「その割には、結構乗り気でしたね」
ドラゴニュート「!?」
アイラ「ドラゴニュートさん、そんな願望が…」
ドラゴニュート「ち、違うぞ! 断じて違う!!」
ファヴール「マスター、ずっとそのままいてください」
ドラゴニュート「ふざけんな、誰が…って、カイト、何赤くなってんだ?」
カイト「え? やべ、何でだろ…」
イオナ「カイトさん、そっちの気があるんですか?」
レイラ「確かに、こんだけ可愛ければ男ってばれないわよね」
ドラゴニュート「~~~!!」

ドラゴニュートは恥ずかしくなったのか、慌ててその場から逃げて行った。

イオナ「あっ! ちょっと! ドラゴニュートさん! そっちは…!!」

そのドラゴニュートが逃げた先は多くの人が集まる食堂であった。その食堂では、案の定休憩に訪れているメンバーがいた。

蒼乃「でさ、その友達が言ったのよ、戦闘機乗りのキタキツネの都市伝説は本当だったって!」
エクセリア「え~! 嘘だ~!!」
ソウル「…くだらん、俺は帰るぞ」

そう言ってソウルは立席し、自室に帰ろうとした、そこで、ドラゴニュートとぶつかった。

ソウル「痛ッ! お前! きちんと前を見て歩け…って…誰だお前?」
ドラゴニュート「あっ…」
デスティニー「え、誰!?」
Gセイバー「こんなかわいい子、セイバークルーザー隊にいたっけ?」
蒼乃「あなたまさか…ドラゴニュート?」
ドラゴニュート「あ…あぁ…」
エクセリア「あなた、女装したらかわいいわね、もっと近くで見せて」
ドラゴニュート「ひっ」

ドラゴニュートは慌てて逃げようとしたが、ソウルに捕まって逃げられなかった。

ソウル「ほら、もっとよく見せてやれ」

そう言ってソウルはドラゴニュートを他のメンバーの方へ押し出した。ドラゴニュートは逃げようとしたが、恥ずかしさと緊張のあまり足が震えて動けなくなっていた。

ネクサス「僕も興味があるな」
デスティニー「似合ってるな、ドラゴニュート
蒼乃「写真撮らせてよ」
ドラゴニュート「ひぃぃ~!!」

その後、ドラゴニュートはセイバークルーザー隊のメンバー全員にメイド服を着た姿を見られ、おまけに写真を撮られたのであった。そして、その日のドラゴニュートは疲れ果てた様子でベッドに倒れ込んで眠りについたのであった。翌日の2100年12月8日、女性陣が集まって話をしていた。

イオナドラゴニュートさん、昨日元気なかったですけど、大丈夫でしょうか?」
アイラ「流石にあれはやりすぎましたね…」
レイラ「私にいい考えがある!」
ドラゴニュート「どんな考えだ?」

いきなりドラゴニュートが現れた事で、イオナ達は驚いた。あれだけ元気なかったドラゴニュートがもうぴんぴんとしていたのだ。

イオナドラゴニュートさん…メンタルはもう大丈夫なんですか?」
ドラゴニュート「何の事? 昨日のは疲れすぎてすぐ寝ただけだぞ?」
アイラ「そうなんですか? てっきり人生終わって辛かったのかと…」
ドラゴニュート「誰のせいだ誰の、で、いい考えって何?」
レイラ「私の知ってる秘湯に行こうかなって思って」
ドラゴニュート「秘湯って…温泉の事? 行きたい行きたい!」

すると、その話に蒼乃も割り込んできた。

蒼乃「それはいい考えね」
ドラゴニュート「姉ちゃん!」
蒼乃「私も、結構仕事続きで大変だったし、ゆっくり休みたいわね」
ドラゴニュート「でも、警戒態勢はどうするんだよ」
デスティニー「それなら俺達に任せてくれ、俺達は別の日に行くから」
ドラゴニュート「ありがとう、デスティニー、感謝するよ」
レイラ「じゃ、早速行きましょ!」

ドラゴニュート達はレイラの案内で、アグリッサ平原の山の奥にある秘湯へと向かった。移動には、小型輸送機ホバークルーザーを使い、操縦は蒼乃が担当した。秘湯とは言ったものの、かなり道は整備されており、秘湯感はあまりなかった。そして、本部からホバークルーザーで5分程の場所にその秘湯はあった。ドラゴニュート達はホバークルーザーを森の中に止め、秘湯へと向かった。秘湯と言いながら、きちんと脱衣所なども完備されており、普通の露天風呂と一緒だった。温泉自体は熱そうだったが、浸かると非常に温まりそうだ。

レイラ「男はあっち、女はあっちね、あんた達、覗かないでよ」
ドラゴニュート「んな事しねーよ!!」

そして、男女はそれぞれの脱衣所に向かって行った。

レイラ「ふ~、今日は特訓していい汗かいたから気持ちよさそうだわ…」
エクセリア「私って、温泉入るの初めてなのよね」
流羽「そうなの? エクセリアさん」
エクセリア「アストラル王国には温泉ってなかったから…」
イオナ「温泉って気持ちいいですよ」
ファヴール「体の疲れを癒すには丁度いいようです」
エクセリア「ますます楽しみになってきちゃったわ」
アイラ「ここって湯加減どうなんでしょう?」
レイラ「熱すぎず、ぬるすぎず、いい感じよ」
ミサキ「体の疲れを癒すには、丁度良さそうだな」
ヴェローナ「できれば、ナイル様と一緒に入りたかった…」
アルル「確かに、ナイル様も一緒が良かったね~」
アネット「ちょ! 駄目だよ、ナイルは男なんだから!」
アレクシア「そうだ、男と女が一緒などと、何と破廉恥な…」
ヴィオレッティ「そう? 面白そうじゃない」
ヴァネッサ「ヴィオレッティ様まで…」
蒼乃「…とりあえず、ゆっくり体を癒しましょう!」

一方の男性組は既に湯船に浸かっていた。

ドラゴニュート「あったけぇ…って、カイト、どうした?」
カイト「直視できん…」
ソウル「どうやら、昨日の件でお前の事が女にしか見えなくなったようだ、アホだな」
カイト「ソウルお前! アホはねえだろ!!」
ドラゴニュート「俺って…そんなに女っぽいかな…?」
カフス「顔立ちは中性的だし、髪も下手な女性より長い」
アクセル「体つきはかなり華奢で、男性によくある筋肉質な感じではなく、女性の様なスラッとした体形、どう考えても女っぽいだろ」
ドラゴニュート「じゃあ、どうすれば男に見えるんだよ…」
ナイル「体を鍛えてボウズにしろ」
ドラゴニュート「ボウズは嫌だぁぁぁ!!!」

一方の女性組も湯船に浸かっていた。

アイラ「あったか~い!!」
エクセリア「いい湯加減ね」
レイラ「でしょ? この秘湯は最高なんだ」
蒼乃「確かに、これならずっと入ってられるわね」
ファヴール「蒼乃さん、長湯はあまり体に良くないですよ」
蒼乃「そ…そうね…ほどほどにしないと…」
ミサキ「だが、体の疲れを癒すにはできるだけ長く浸かりたいものだな」
ヴェローナ「ああ…後はこれでナイル様がいれば完璧…」
アネット「だからナイルは男だって!」
流羽「………」
イオナ「流羽さん、どうしました?」
流羽「私の胸、小さいなって…」
アイラ「最初はみんなそんなものですよ」
流羽「でも、18になってこんなに小さいなんて…アイラちゃんだってそこそこあるのに…」
アイラ「そっ…そこそこ!?」
レイラ「でも、女の魅力って胸だけじゃないでしょ?」
流羽「例えば?」
レイラ「そうね…料理ができるとか…掃除ができるとか…洗濯ができるとか…」
蒼乃「あっ…」
イオナ「蒼乃さん、どうしました?」
蒼乃「それ、全部ドラゴニュートが当てはまるのよ…」

ドラゴニュート「へっくしょん!」
アクセル「どうした? 湯船の中でくしゃみなんかして」
ドラゴニュート「いや、誰かが俺の噂をしてるんだろう」
カイト「噂って…どこかのバーガーショップのマスコットかよ、9月の終わりでもないのにくしゃみしやがって…」
ソウル「くしゃみぐらい誰でもするだろ、それより、お前はいつまでドラゴニュートを直視しないつもりだ」
カイト「いや、今ドラゴニュートを見ると鼻血を出してしまう…」
ドラゴニュート「そんなに!?」
ナイル「だからと言って、俺ばかり見るな、気が散る」
カイト「す…すまん…」

すると、一人の男性が入って来た。その男性は金髪で太ももの辺りまである長髪が特徴の男性だった。そして彼もまた、中性的な顔立ちをしており、女性に見えなくもなかった。

ドラゴニュート「…誰だ?」
カイト「うわっ! 直視できない!」
ソウル「いい加減にしろ」
ルシファー「急に入る事、失礼する、私はイフィニアド四天王の一人、ルシファーだ」
ドラゴニュート「イフィニアドの四天王だと!?」

一方の女性陣の方にも、一人の女性が入って来た。その女性を、蒼乃たちはよく知っていた。

蒼乃「あ…あなたは…!」
シオリ「久しぶりね、覚えていてくれて光栄だわ」
レイラ「知ってる人?」
流羽「前、私たちと戦った人だよ、とても強い人なの」
シオリ「でも、今日は戦いに来た訳じゃないわ、ちょっと話をしに来たの」
ヴァネッサ「話…?」
シオリ「簡単な話よ、ドラゴニュートを私に託して欲しいの」
エクセリア「ドラゴニュートを? 一体何の為に?」
シオリ「彼はまだ伸びがあるわ、伸び次第では一人でイフィニアドを殲滅する力も持てるはず、だけど、クロストライアルにいたままじゃ、その力を伸ばす事は出来ない」
蒼乃「…何が言いたいのかしら? あの1回の戦いでそれを見切ったとでも?」
シオリ「あの1回だけじゃないわ、ヴィオレッティ盗賊団の勧誘も、悠人との戦いも、この間のダークシャドウとの戦いも、全部隠れて見させてもらっていたわ」
ヴィオレッティ「とんでもないストーカーね」
アイラ「でも、何でドラゴニュートさんの位置が特定できたんでしょうか…」
シオリ「それは、私とドラゴニュートが同じ存在だからよ」
ヴェローナ「同じ存在…?」
イオナ「まさか…!!」
シオリ「やっと分かったようね、ドラゴニュートは覚醒状態になると龍の翼を出す事ができる、私も同じような能力を持っているのよ、そして、私はその能力者を探す力を持っているの」
蒼乃「そんな…じゃあ、ドラゴニュートは一体何者なの!?」
シオリ「これ以上聞きたかったら、ドラゴニュートを私に託して」
蒼乃「本当に肝心な事は何も教えてくれない人ね、あなたは、そんな事言ったって、ドラゴニュートは絶対に渡さないわよ」
シオリ「強情ね、あなたも」

一方の男性陣もまた、ルシファーと会話していた。

ソウル「イフィニアドの四天王ともあろう人物が、こんな所に一体何の用だ?」
ルシファー「いや、この地球を征服する前に、一度秘湯と言う物に入っていておきたくてね」
ナイル「本当に、それだけか?」
ルシファー「それ以外に、何の理由がある?」
アクセル「俺達を殺すとか、あるだろ? 今なら簡単に殺せるはずだ」
ルシファー「まさか、人々の憩いの場でそんな事はしないさ」
カイト「こいつ、本当にイフィニアドの四天王なのか?」
ドラゴニュート「何か食えない奴だよな」
ルシファー「君がドラゴニュート、そして、カイトか」
ドラゴニュート「そうだが、それがどうした?」
ルシファー「君達2人の活躍は我々の所にも届いているよ」
カイト「それは光栄だぜ、お前ら悪党の所にも俺達の名声が届いているなんてな」
ルシファー「悪…ねぇ…」
ドラゴニュート「…どうした?」
ルシファー「いや、悪って一体何だろうと思ってね」
カイト「何を言っているんだ? 悪って言うのは、罪もない人々の命を奪うお前らの事じゃないか」
ルシファー「我々が悪なのは確かだ、だが、君達の上部組織である地球統合軍も、かつては非人道的な行いをしたと聞くがね?」
ソウル「非人道的な行いだと?」
ルシファー「ザフト軍と戦う為に薬漬けの兵士を生み出す、水のない星で怪獣化した人間の抹殺及び情報隠蔽、地球の先住民と思われるノンマルトの排除、ザフト軍に対しての核の使用、探せばまだまだあるぞ?」
ドラゴニュート「それは全部過去の話だ! 今はいい方向に傾いている!!」
ルシファー「だが、これらは全て消す事の出来ない事実だ、違うかね?」
ドラゴニュート「それは…そうだけど…」

ルシファー「結局君達は我々の事を一方的に悪と言いながら、過去に起こった事実に目を向けていない、それどころか隠蔽をしている、結局どっちが悪なんだろうね」
ソウル「それでも、俺は貴様らを認めん、貴様らのしている事は悪だ」
カイト「そうだ! 正義は絶対に悪に勝つ! これが鉄則なんだよ!」
ルシファー「君達はそう言った正義こそ正しい! 正義こそ全て! みたいな事を言わないと、自分達の正義を押し通す事ができないのか? 正義のヒーローだって、毎回悪に勝つわけじゃないだろう?」
ドラゴニュート「それでも! 最後は絶対に悪に勝つんだ! これがお決まりなんだよ!!」
ルシファー「ふぅん、でも、地球で作られた特撮の中に正義敗北エンドで終わった作品があるって聞いたが?」
ドラゴニュート「それは…! 裂空騎士シリーズ第9作目、裂空騎士マッハダガーの第49話! 暗黒銀河帝国デスカオスの皇帝を打ち破って満身創痍のマッハダガーの下にデスカオス本星から差し向けられた大艦隊が地球に接近していると言う知らせが届き、絶体絶命の状態でマッハダガーがデスカオス艦隊に立ち向かうと言う形で幕を閉じると言う伝説のバッドエンド!!」
ルシファー「いい事を教えてあげよう、この世の中は常に正義と正義のぶつかり合いが起こっている、この戦いに例えれば、我々が地球を侵略すると言う正義を持って、君達は地球を守ると言う正義を持っている、つまり、我々のしている事は戦争、戦争は自らを正義、相手側を悪と考えるのが基本だ、そんな状態でどちらが正義、どちらが悪かを考えるのは難しいだろう? もっと客観的に物事を見たまえ、そうしないと、どちらが正しいかなんて分からないぞ?」
ドラゴニュート「…それでも…それでも俺は、俺達が正しいと信じる!!」
カイト「そうだ! 侵略してくる奴なんかに正義の正しさが分かるものか!!」
ルシファー「フッ、そうか…それが君達の正義なんだね…」

そして、双方はしばらくの間無言となった。

ルシファー「そろそろのぼせてきたよ、私はここでおさらばさせてもらうよ、今度会う時は戦場だろう、その時まで、また会おう」
ドラゴニュート「できればあんたとはもう二度と会いたくないよ」
ルシファー「フッ、そうか…」

そう言って、ルシファーは脱衣所の方まで去って行った。その去り際に、ルシファーは一つ忠告をした。

ルシファー「あぁ、そうそう、女湯の方に我々イフィニアドの刺客を送っている、早く行かないと、可愛い女の子達の顔が台無しになってしまうよ?」
ドラゴニュート「何ッ!?」
カイト「早く行かないと!!」

ドラゴニュート達は慌てた様子で男湯と女湯の間にある柵を一斉に押した。一方の女性陣は、柵が揺れてることに気づき、全員が最悪の事態を想定しだした。

ヴェローナ「この柵…何かギシギシと音がしますけど…」
シオリ「何か…倒れてきそうじゃない?」

すると、その柵が倒れ、男湯と女湯が繋がった。

アイラ「キャーッ!!」
ファヴール「皆さん、女湯に入ってきて一体何をなさっているんですか?」
ドラゴニュート「え? ここにイフィニアドの刺客が現れたって聞いたけど…」
イオナ「何を寝ぼけた事を言ってるんですか!」
エクセリア「そんなのが現れたら、悲鳴を上げて知らせてるわよ!」
ソウル「でも、相手が悲鳴を上げられない武器を持ってたりしたら…」
ヴァネッサ「そんな何かの漫画にしか出てこない様な武器あるかい!!」
レイラ「てか、いつまで私達の裸見てるのよ! この変態!!」
カイト「へ? あああああ! ごめん!!」
蒼乃「生かして返すかこのスケベェェェッ!!!」
ドラゴニュート「ぐわああああああっ!!!」
ルシファー「馬鹿な奴らだ…」

ドラゴニュート達はルシファーの嘘にまんまと騙されてしまった。その後、男性陣は女性陣に完膚なきまでに叩きのめされた。疲れを取るどころか逆に疲れてしまったのである。その後、ドラゴニュート達は湯船から出て服を着て外に集合した。女性陣の顔がスベスベしているのに対し、男性陣は顔に痣ができていた。

ドラゴニュート「痛てて…」
カイト「前が見えねえ」
レイラ「それだけで済んだだけでもいいと思う事ね!」
アイラ「変態さん達、少しは反省しましたか?」
ソウル「すまない、反省している」
ヴェローナ「私は、ナイル様と一緒に入れて嬉しかったですけどね」
イオナ「だからナイルさんは男だから駄目ですって」
ドラゴニュート「そう言えば、シオリ」
シオリ「ん? 何?」
ドラゴニュート「君は一体、何者なんだ?」
シオリ「それはまた今度教えるわね」
ドラゴニュート「何だよ、君も怒ってるのか?」
シオリ「怒ってないわ、じゃあ私、ワイバーンをあっちに止めてるから、またね」

そう言って、シオリは去って行った。

ドラゴニュート「何だよ、やっぱ怒ってるじゃないか」

ドラゴニュートがカイトの所に向かおうとすると、ずっと自分の事を見ている蒼乃の視線に気がついた。

蒼乃「………」
ドラゴニュート「さっきから俺を見てどうしたんだ? 姉ちゃん」
蒼乃「いえ、やっぱり何でもないわ」
ドラゴニュート「姉ちゃんまで…」
蒼乃(ドラゴニュートとシオリが同じ存在…一体何なのかしら…)

セイバークルーザー隊は休息をとると同時に、新たな謎を抱えた。ドラゴニュートとシオリの関係性、正義とは何か、悪とは何か。これらの謎が明らかになるのは一体いつなのか、その日が来るまでセイバークルーザー隊は休息を取る事になる…。

ドラゴニュート達が秘湯に行ってから3日が経った2100年12月11日、イフィニアドの動きは相変わらず感知されず、平和な時間が続いていた。そんな中、ドラゴニュートは食堂の机の上にダークシャドウとの戦いで折れてしまったスティールソードを置き、じっと眺めていた。

ドラゴニュート「参ったなぁ…この折れ方じゃ新しく買った方が早いじゃないか…」

ティールソードは刀身が綺麗に折れており、使い物にならなくなっていた。ドラゴニュートの言う通り、修理するぐらいなら新しく買った方が早いのである。すると、その様子を見ていたデスティニーがドラゴニュートに話しかけた。

デスティニー「その剣って、お前がずっと使ってた剣だよな?」
ドラゴニュート「ああ、そうだよ、前にエル姉に買ってもらったんだ、でも、この折れ方だと直すより買った方が早いなって」
デスティニー「確かに、これだと買った方がマシだな」

デスティニーはしばらく考えた後、一つの提案をした。

デスティニー「なあ、せっかくだし、自分専用の剣を作ってもらったらどうだ?」
ドラゴニュート「自分専用の剣?」
デスティニー「店で買うのもいいけど、自分専用の剣の方が愛着湧くじゃないか」
ドラゴニュート「確かに、それもいいな! でも、誰に作ってもらうんだよ」
デスティニー「兵器開発局のアリスさんとかはどうだ?」
ドラゴニュート「アリスさんって、ファヴールを作った人だよな? あの人忙しくないか?」
デスティニー「う~ん…ファヴールのマスターであるお前の話なら聞いてくれるんじゃないかな?」
ドラゴニュート「そんなに暇じゃないと思うんだけどな…」

その後、ドラゴニュートはデスティニーと共に兵器開発局のアリスに連絡を入れた。すると、アリスは案外暇そうな様子であった。

アリス「はい、兵器開発局のアリスです」
デスティニー「アリスさん、急な頼みで申し訳ありません、ドラゴニュートの為に剣を作ってあげてください」
アリス「ドラゴニュート…ああ、ファヴールがマスターとして選んだ人ですね、いいですよ」
ドラゴニュート「本当ですか! ありがとうございます!」
アリス「ファヴールが選んだ人なら、きっといい人だと思いますしね、それに、今は用事がなくて丁度暇してたところですので…」
ドラゴニュート「…え?」
アリス「あらいけない、私としたことが余計な事を言ってしまいました…ところで、どんな剣をお望みでしょうか?」
ドラゴニュート「できるだけ軽くて、頑丈で、切れ味が高くて、手入れしやすくて、やや細身で、青い剣がいいです」
アリス「えらく細かいリクエストですね、でも大丈夫です! 私達兵器開発局の科学力なら、1週間で完成させられます!」
ドラゴニュート「本当ですか?」
アリス「何と言っても、私達兵器開発局は地球上で最高の技術を持っていますから!」
ドラゴニュート「その技術力、期待してます! 頑張ってください!」
アリス「任せてください! それでは」

そう言って、通信は終了した。

ドラゴニュート「これなら大丈夫そうだな」
デスティニー「よかったな、ドラゴニュート
ドラゴニュート「でもあの人、何であんなに暇そうだったんだろう…」
デスティニー「あの人真面目そうに見えて案外怠けものなんだよ、通信では見えてなかっただけで、結構部屋散らかってるし」
ドラゴニュート「人って見かけによらない物なんだな」

その後、ドラゴニュートは自分の新たな剣の到着を楽しみにしながら過ごした。その一方で、世界各地で再びイフィニアドがかなり小規模ながらも活動を開始し始めていた。前の様に30~100人規模ではなく、10人規模程度だった為、すぐ鎮圧されたものの、イフィニアドが活動していなかった期間が長かったため、世界はまた混乱し始めた。また、ヴェイガンの活動もイフィニアドと共に再開し、各地を攻撃し始めたのであった。更に追い打ちをかけるかの様にゴジラの出現も報告され始めた。今の所ゴジラによる被害はなかったが、世界中の海でゴジラが背びれを出しながら泳ぐ様子が確認された。世界は少しずつ、かつての様に混沌とした世界に戻り始めていたのである。そして、あっという間に1週間が経ち、2100年12月18日、遂にドラゴニュートの専用武器となる剣が完成した。

ドラゴニュート「そう言えば今日だよな、俺の剣が届くのって」
デスティニー「さっきアリスさんから連絡があったぞ、ケルベロスでそちらに届けに行くって」
ドラゴニュート「アリスさんが直々に届けに来るのか?」
デスティニー「あの人、自分から届けに行かないと気が済まない人でさ」
ドラゴニュート「あ~ね、でも、イフィニアドに見つかったりしないかな?」
デスティニー「大丈夫、クロストライアル所属の戦艦は基本的にステルスシステムを搭載してるから、肉眼かよほど感度のいいセンサーじゃないと見つからないよ」

すると、蒼乃が慌てた様子で食堂に駆け込んできた。

蒼乃「ドラゴニュート! 大変よ!!」
ドラゴニュート「どうしたんだよ姉ちゃん!?」
蒼乃「アリスさんが…イフィニアドの襲撃に合ったわ!!」
ドラゴニュート「何だって!?」
蒼乃「アグリッサ山の上空よ! 早く助けに行って!!」
デスティニー「俺もインパルスやGセイバーさんを連れて行く! お前は早く行け!!」
ドラゴニュート「分かった!!」
蒼乃「ドラゴニュート! これを!!」

そう言って蒼乃が手渡したのは、自分の愛刀である氷牙刀だった。

蒼乃「これを貸してあげるから、絶対に助けてくるのよ! いいわね?」
ドラゴニュート「分かった! じゃ、俺、行ってくる!!」

そう言ってドラゴニュートは食堂を後にした。ドラゴニュートはバイク形態になったファヴールに乗ってアグリッサ山上空に向かった。遅れてデスティニー、フォースインパルス、Gセイバー、ネクサス、リトラに乗ったレイモンがやって来た。アグリッサ山上空では既に兵器開発局の試験支援艦ケルベロスがイフィニアドの洗脳した怪獣と、ヴェイガンの兵士に攻撃を受けていた。ケルベロスは機関砲で迎撃しながら、艦載機であるワイバーンファイターを出撃させて応戦していたが、圧倒的な戦力差に苦戦していた。

ドラゴニュート「アリスさん…! 今助けます!!」

ドラゴニュートは氷牙刀の力を使い、大気中の水分を凍らせて氷の粒を作り、飛ばして怪獣達を攻撃した。氷の粒をぶつけられた怪獣達は怒り、ドラゴニュートに攻撃の的を絞った。

大コンドル「ギャオーーーッ!!」
ドラゴニュート「よし! 俺に狙いを定めたな! まとめて叩き斬ってやる!!」

ドラゴニュートは自分を狙って攻撃してきた怪獣達を、すれ違いざまに次々と斬り裂き、倒して行った。

デスティニー「中々やるじゃないか、ドラゴニュート
フォースインパルス「私達も頑張らなきゃね!」
Gセイバー「一斉に攻撃するぞ!!」

デスティニー達セイバークルーザー隊のガンダム族3人は、ビームライフルで一斉攻撃、ビームライフルで狙い打たれたヴェイガンの兵士達は爆散し、倒された。

レイモン「リトラ! 行けっ!!」
リトラ「ピィィーッ!!」

レイモンの命令でリトラは大コンドルを突っついて攻撃した。

ネクサス「僕も行くぞ! オーバーレイ・シュトローム!!」

ネクサスは必殺技のオーバーレイ・シュトロームを放ち、怪獣達を次々と攻撃。その攻撃を食らった怪獣達は次々と爆散していった。

ドラゴニュート「これで最後だッ!!」

ドラゴニュートは氷牙刀でダナジンを一刀両断にし、倒した。こうして、ケルベロスを襲っていたイフィニアドとヴェイガンは全滅した。

デスティニー「片付いたみたいだな」

すると、ケルベロスからファヴールの通信システムに音声通信が送られてきた。

アリス「助けていただき、ありがとうございます、ドラゴニュートさん、礼の剣は出来上がっていますよ、他の皆さんと一緒にケルベロスに乗艦してください」
ドラゴニュート「分かりました、アリスさん」

そして、ドラゴニュートとその仲間達はケルベロスに乗艦した。ケルベロスの艦の内部はシンプルな構造だった。元々老朽艦を改装した艦なので、新造艦であるセイバークルーザーに比べると内装などは古かったが、特に汚れている事もなく、兵器開発局のメンバーがシステムを新しくしている為、航行に支障はないようだ。そして、ドラゴニュート達はケルベロスのブリッジに到着した。そこでは、兵器開発局のメンバーが集まっていた。

アリス「どうも、兵器開発局のアリスです」
ロード「艦長のロードだ、助けていただいた事、本当に感謝する」
ドラゴニュート「いや、俺達は当然の事をしたまでです」
デスティニー「そうですよ、このご時世、助け合いは大事ですから」
アリス「そうですね、困った時は助け合いですね」

そして、アリスは頼んでいた例の剣を持ってきた。まだ鞘に入っている状態だったが、その剣の凄さは十分に伝わって来た。

アリス「ドラゴニュートさん、一応完成しましたけど、こんな感じでよかったですかね?」

そう言ってアリスはドラゴニュートに剣を手渡してきた。剣を渡された瞬間、ドラゴニュートはその剣の軽さに驚いた。

ドラゴニュート「軽い…まるで羽毛の様だ…」
アリス「兵器開発局の技術を使って開発した金属、フェザーオリハルコンで作った剣です、当然軽いですよ」
デスティニー「ほら、鞘から抜いてみろよ、ドラゴニュート

ドラゴニュートが鞘から剣を抜くと、青く輝く刀身がその姿を現した。その剣は武器にしては美しく、まるで宝石の様に淡く輝いていた。美しく輝く新たなる剣(つるぎ)に、ドラゴニュートは見とれていた。

ドラゴニュート「…綺麗だ…」
アリス「この剣は美しさと軽さ、硬さと切れ味を両立させた剣です」
ロード「きっと君の力になってくれるよ、ドラゴニュートくん」
ドラゴニュート「ありがとうございます!えっと、お金とかは…」
アリス「お金なんていいですよ、私達兵器開発局は少しでも早く戦いを終わらせる為に兵器を作っているんですから」
ドラゴニュート「そうなんですか、いい組織なんですね」
アリス「はい、それより、その剣に名前を付けてあげてください」
ドラゴニュート「名前…かぁ…」

ドラゴニュートは考えた、この美しい剣の名前を。自分の相棒になる剣だから中途半端な名前にしたくはない、小一時間考えた末、ドラゴニュートはようやく納得のいく名前を考えた。

ドラゴニュート「ヴィエルジュ! こいつの名前はヴィエルジュにします!」
ロード「ヴィエルジュ…フランス語でおとめ座って意味か…」
ドラゴニュート「はい、俺、おとめ座なので」
アリス「ヴィエルジュ…ですか…いい名前ですね、大事にしてあげてくださいね」
ドラゴニュート「はい!」

すると、何者かがケルベロスのブリッジを突き破って侵入してきた。

ロード「何者だ!?」
ムザン星人「俺はイフィニアドの刺客、ムザン星人だ! 貴様ら! 殺してやる!!」

その異変に気付いたのか、ケルベロスのブリッジの入り口に待機していた。ワイバーンファイターのパイロットであるユウジとコウジ、エイジがブリッジに入ってきた。

ユウジ「今の音って何っすか!?」
コウジ「多分あいつの仕業だな!!」
エイジ「あいつを止めるぞ!!」

3人はムザン星人に殴りかかったが、逆に殴り飛ばされ、気絶してしまった。その様子を見ていたオペレーターのレオーネと操舵手の佐々崎は呆れていた。

佐々崎「何しに出てきたのよ…」
レオーネ「流石、ケルベロスクルーの誇る三馬鹿ね…」

一方のムザン星人は、ドラゴニュート達と対峙していた。

ムザン星人「さあ、殺される準備はできたか?」
デスティニー「こいつ! 俺が相手だ!!」
ドラゴニュート「いや、俺に任せてくれ!!」
フォースインパルス「ドラゴニュート?」
ドラゴニュート「こいつの切れ味を試したい、いいよな?」
デスティニー「ああ、構わない、やってみろ」
ムザン星人「貴様! この俺を舐めてると痛い目を見るぞ!!」

ムザン星人は破壊光線を撃ったが、ドラゴニュートがヴィエルジュで切り払った。

ドラゴニュート「軽い…! これなら…!!」

ドラゴニュートは高くジャンプし、ムザン星人を一刀両断にした、そして、ムザン星人は爆散した。だが、その肉片がブリッジ内に飛び散ってしまった。

デスティニー「うわっ!!」
ネクサス「ドラゴニュート、艦内で爆発させたら駄目だよ…」
佐々崎「何か破片飛んできたんだけど…」
レオーネ「これ、洗濯で落ちるかな?」
ドラゴニュート「すみません、でもこの剣、凄くいいです!」
アリス「気に入ってもらえて何よりです、大事にしてくださいね」
ドラゴニュート「はい!」

すると、ファヴールも大事にして欲しかったのか、ドラゴニュートに駆け寄ってきた。

ファヴール「マスター…私も…」
ドラゴニュート「もちろん、お前も大事にするよ、ファヴール」

そう言って頭を撫でるとファヴールは嬉しそうに微笑んだ。

アリス「ファヴールも幸せそうで何よりです」
ロード「ファヴールとはうまくやってるかい?」
ドラゴニュート「あ、もちろん仲良くやってますよ、この間は紅茶を入れてくれましたし」
アリス「紅茶? 興味あります、どんな味だったんですか?」

すると、味を聞かれたドラゴニュートは顔を青ざめさせた。

ドラゴニュート「え…えっと…お…美味しかったですよ…」
ロード(あの様子…不味かったんだな…)
アリス(今度アップデート用のコアクリスタルを開発しましょう…)

その後、ドラゴニュート達はケルベロスを後にし、ケルベロスも帰って行った。そして、フリーダムベースに帰ったドラゴニュートは、カイトやレイラからヴィエルジュについて色々聞かれた。

カイト「めっちゃかっこいい! 俺もそんな剣欲しい!」
ドラゴニュート「おいおい、贅沢言うなよ、お前も十分かっこいい剣持ってるじゃないか」
レイラ「ねえ、ドラゴニュート、剣もいいけど、拳もいいよ、鍛えてみない?」
ドラゴニュート「え…遠慮しとくよ、俺は剣の方が性に合うんだ」
アイラ「あの…私も持ってみていいですか?」
ドラゴニュート「いいよ、ほら」

ドラゴニュートはアイラにヴィエルジュを手渡した。すると、あまり力のないアイラでもすんなりと持つことができた。

アイラ「あ…凄く軽いです」
エル姉「そんなに軽いのね」
流羽「私も軽い剣、欲しいな…」
エル姉「ちょっと、あなたの装備してるレイピアも十分軽いわよね?」
ドラゴニュート「流羽は非力なんだから仕方ないよ、エル姉」
流羽「え~、酷いよ~」

その後、フリーダムベース内ではヴィエルジュの話題で持ちきりだった。話は大盛り上がりし、知らない内に夜になり、セイバークルーザー隊の主要メンバーは全員就寝した。その日の深夜、ドラゴニュートは誰かに呼ばれている気がして急に目を覚ました。

???「…ゴニュート…ドラゴニュート…」
ドラゴニュート「な…なん…だ…?」
???「外に…来て…」
ドラゴニュート「外…?」

ドラゴニュートは言われるがままに外に向かった。

ファヴール「…マスター?」

ドラゴニュートが外に出ると、そこには赤紫の長髪の女性がいた。その女性が誰かは知らなかったが、恐らく年齢は同年代だと思われる。緑色の瞳の美しい顔をしており、旅人の様な服装をしているが、着ている服の腰の部分に大きなリボンが付いていたりと、ファッションには気を使っているようだ。そしてドラゴニュートは、思っていた事を口にした。

ドラゴニュート「君が俺を呼んだのか?」
???「そうよ、ドラゴニュート、私はあなたと話がしたくて呼んだの」
ドラゴニュート「君は一体何者なんだ?」
???「忘れたの? 私はラズ、あなたの本当の姉よ」
ドラゴニュート「俺の…本当の…姉…?」

ラズと言う女性から告げられたのは、衝撃の事実だった。ドラゴニュートは夢でも見ているのかと思ったが、現実だと言う事に衝撃を隠せなかった。

ドラゴニュート「ラズさんが俺の本当の姉…!? そ…そんな嘘、俺は信じないぞ」
ラズ「あら、本当に何も知らないのね、いけない子、せっかく出会えたのに…」

そう言ってラズはいきなりドラゴニュートを押し倒した。ラズは馬乗りになり、ドラゴニュートの唇にキスをした。

ドラゴニュート「んっ!? なっ…何をするんだよ! いきなりキスするなんて…」
ラズ「だってあなたって可愛いんだもん、可愛い弟にはキスだってしたくなるわ」
ドラゴニュート「だから俺はラズさんの弟じゃない! 俺の本当の姉は蒼乃姉ちゃんだよ!」
ラズ「蒼乃姉ちゃん…? あなたは本当にその人の事をお姉さんだと思っているの?」
ドラゴニュート「本当も何も、ずっと昔から暮らしてるから姉ちゃんは姉ちゃんだろ?」
ラズ「じゃあ、ドラゴニュートは今の兄弟の名前、全員覚えてる?」
ドラゴニュート「勿論! 奏真兄ちゃん、蒼乃姉ちゃん、俺、大河、流羽、これで全員だ」
ラズ「それじゃあ、何であなたの名前だけカタカナかは分かる?」
ドラゴニュート「それは、昔父さんから俺の名前だけはキラキラネームにしたかったからって聞いた事があるよ」
???「それは嘘だ、ドラゴニュート

そう言って木の陰から現れたのは、ドラゴニュートが良く知る人物だった。

ドラゴニュート「奏真兄ちゃん!!」
奏真「久しぶりだな、ドラゴニュート
ドラゴニュート「今の今まで何してたんだよ! 奏真兄ちゃん! 生きてたなら連絡位よこしてくれたって…!!」
奏真「それは無理だ、何故なら今の俺はイフィニアドの幹部だからな」
ドラゴニュート「は…? 何言ってんだよ…冗談きついぜ、奏真兄ちゃん」

すると、奏真はドラゴニュートに対してエビルライトニングの呪文を放ってきた。ドラゴニュートは間一髪その攻撃を回避した。

ドラゴニュート「何すんだよ! 奏真兄ちゃん!!」
奏真「これで分かっただろう? 今の俺はお前の敵だ」
ドラゴニュート「奏真兄ちゃんが…俺の敵…?」
奏真「そうだ、あの強大な宇宙帝国イフィニアドにはどうやっても敵わないからな、だから俺はイフィニアド側についた」
ドラゴニュート「じゃあ、大河はどうしたんだよ! 父さんは! 母さんは!!」
奏真「大河は言う事を聞かないから冷凍刑に処した、父さんと母さんは知らん、多分イフィニアドに殺されたんじゃないか?」
ドラゴニュート「奏真兄ちゃん…そこまで落ちるなんて…」
奏真「そんな事より、さっきの話の続きだ、ドラゴニュート、お前の名前の本当の意味を知りたくないか?」
蒼乃「それは私達も興味あるわね」

ドラゴニュートの後ろの木陰から蒼乃と他のメンバーが現れ、奏真たちと対峙した。

奏真「蒼乃に流羽、そして外野どもか…」
カイト「ドラゴニュート! 変な事されてないか?」
デスティニー「俺達が来たからにはもう安心していいぞ、ドラゴニュート
ドラゴニュート「ありがとう、みんな、俺は大丈夫だ」

流羽「奏真お兄ちゃん…ドラゴお兄ちゃんの名前の本当の意味って何なの?」
奏真「どうやらお前達も興味あるようだな」
蒼乃「もちろんよ、そして、それを聞いた後、あんたが何でこんな事をしているかじっくり聞かせてもらうわ」
奏真「フン、勝手にしろ、ラズ、あれは持っているな?」
ラズ「もちろんよ、これでしょ?」

そう言ってラズが持ってきたのは手に抱えるほどの大きさの地球儀のような形をした装置だった。

奏真「この装置は面白い装置でな、生物の体に記録された記憶を脳内に転写する装置だ、これもイフィニアドの科学力の一つだよ」
レイモン「危険じゃないんだろうな」
ラズ「安心して、全く害のない装置よ」
イオナ「それを聞いて安心しました」

そして、奏真は装置から出る光をドラゴニュートに10秒ほど照射した。

奏真「これで記憶の抽出は完了だ、今からお前達の脳内に転写してやる」
ドラゴニュート「俺の真実…一体どんな真実なんだ…」
ラズ「それじゃ、転写開始!」

ラズが装置のスイッチを押すと、装置から眩い緑色の光が放出された。その光は一瞬でセイバークルーザー隊の面々の意識を吹き飛ばした。セイバークルーザー隊の面々はドラゴニュートの記憶を見終わるまで意識を失うのである。

奏真「…じっくりとドラゴニュートの記憶を堪能するといい、最悪の記憶だろうがな」

今から25年前、とある地域に1つのイフィニアドの先遣隊が到着した。当時の地球はショッカーやネオ・ジオンとの戦いが立て続けに終結し、平和に向かい始めていた時期であった。地球に到着したイフィニアドの先遣隊は、過去の大戦で作られたものの放棄された地下基地を利用し、とある研究を始めた。そして、そこでイフィニアドが研究していたもの、それは人に動植物の優れた能力を移植した戦闘兵士の製造であった。イフィニアドはショッカーの改造人間製造の技術や、コーディネイターの誕生に使われた遺伝子操作の技術、クローン製造の技術などを応用し、最強の兵士を作ろうとしていた。しかし、その研究はなかなか上手く行かず、多数の失敗作を生み出しては処分する事を繰り返していた。その結果、イフィニアドの研究施設の1部分は失敗作を処分する廃棄施設となっており、そこでは多数の失敗作の死体が捨てられ、腐敗し、凄まじい腐臭を漂わせていた。そして、研究を開始してから2年が経った頃、ようやく1人が完成した、それがラズである。

Dr.バイオ「ようやく完成したぞ! これがイフィニアドの戦闘兵士だ!」
マッド「やりましたね! Dr.バイオさん! これで皇帝陛下もさぞお喜びになるはずです!」
ノラル「でも…ここに至るまで多くの命を犠牲にしてしまったわ…」
Dr.バイオ「そんな事は関係ない! どれだけ多くの命を犠牲にしてでも構わぬ! 皇帝陛下のお役に立てればそれでいいのだ!」
マッド「そうだ! お前も皇帝陛下の為、この研究に参加すると決めたのだろう?」
ノラル「でも、私はこれ以上子供達を犠牲にしたくないです…」
マッド「黙れ! 貴様は本来なら処刑される立場の捕虜! その命がこうして役に立つのだ! ありがたく思うのだな!」
ノラル「…はい…」

この研究に参加しているノラルと言う女性はドラゴニュートの本当の母親であり、ラズの母親でもある。長く美しい黒髪とエメラルドグリーンの透き通った瞳が特徴で美しい顔の持ち主である彼女は地球人ではなく、スコール星人である。スコール星は地球によく似た星であり、そこに住む人々も地球人とほぼ同じ体質と姿をしていたが、ある日スコール星はイフィニアドに侵略されてしまった。ノラルはイフィニアドがスコール星を襲撃した際に捕虜となってしまい、そのまま地球まで連れてこられてこの研究に無理やり参加させられたのだ。スコール星人は非常に心優しい種族であり、本当ならこの研究にも参加したくはないのだが、殺されたくないので仕方なくこの研究に参加しているのである、いつか自由になれる日が来ると信じて。イフィニアドのこの研究には、その性質上、多くの命が必要となる。そこでイフィニアドは侵略した星の捕虜を人工的に作り出した精子に他の動植物の遺伝子を合成した精子で人工的に妊娠させ、試作の戦闘兵士を作り出しているのだ。そしてその結果、地球人の体質と99.9%同じ体質であるスコール星人のノラルが出産した子供が成功確率が高いと踏んだ。それからと言う物、ノラルは幾度となく実験の為に使われる事になる。だが、貴重な成功体を生み出した功績は大きい為、他の捕虜程乱暴に扱われる事はなかった。それでも、自分の産んだ子が実験の材料として扱われる事にはかなりの苦しみがあった。いつか自由になれる日が来ると信じてずっと研究に参加していたが、彼女にとってはもはや生き地獄であった。それから1年が経った頃、別の捕虜が産んだ子供が戦闘兵士になる事に成功した、それがシオリである。

マッド「2人目が成功しましたね、Dr.バイオさん」
Dr.バイオ「そうだな、これで皇帝陛下もますますお喜びになるはずだ」
マッド「早速この成功体もインペリアルフォートレスに転送しておきます」
ノラル「………」
Dr.バイオ「ノラルよ、お前は今1人の男の子を身籠っているそうだな」
ノラル「え、あ、はい…」
Dr.バイオ「今までは植物と蝶の戦闘兵士だったが、今度はドラゴンの戦闘兵士だ、きっと高い戦闘能力を持っているであろう」
ノラル「えっと…つまり…」
Dr.バイオ「戦闘兵士試作63号、通称ドラゴニュートの量産が成功すれば、きっとイフィニアドの侵略の役に立つはずだ、お前は最高の人材だよ」

ノラルはふと思った、自分はこの先もずっと戦闘兵士と失敗作を生み出す為の道具なのかと。仮にこのままの生活が続いたとしても待っているのは用済みとして処分される日、今自分が身籠っているドラゴニュートと言う名前が付けられたこの子もイフィニアドの侵略用の兵器として扱われる。そして決意した、この子だけでも守り抜こうと。その日の深夜、基地の人間全員が寝静まった後、ノラルは牢屋を脱走し、基地の武器庫からこっそり時限爆弾を盗んだ。どうやって牢屋を脱走したのかと言うと、日中にこっそりとカードキーを盗んでいたのだ。バレるかどうか心配だったが、意外にも、基地の人間たちにバレる事はなかった。そして、盗み出した時限爆弾を基地の動力炉に取りつけ、時限爆弾のスイッチを作動させた。うまく行くかどうか不安だったが、この基地の警備はかなりのザル警備だったので、何とか成功させた。そして、ノラルが基地を脱出して5分ほどたった後、基地は大爆発を起こして跡形もなく吹き飛んだ。

ノラル「やったわ…ざまあみなさい…うっ!」

すると、急に陣痛が起こり、ノラルは地面に倒れ込んだ。もうすぐドラゴニュートが産まれそうなのである。

ノラル「はぁ…はぁ…こんな所で産むわけにはいかないわ…まだ準備が…」

すると、ノラルに近寄って来る1人の男性がいた、後のドラゴニュートの父親になる駆(かける)・ブラウスピカだ。

駆「そこのあなた、大丈夫ですか?」
ノラル「誰…!?」
駆「申し遅れました、俺は駆・ブラウスピカ、ただの冒険者ですよ、ハッハッハ」

自分の事をただの冒険者と名乗った彼は、たくましい顔つきだが、優しさも兼ね備えている、そんな気がした。そして、ノラルは彼に助けを求めてみる事にした。

ノラル「あのっ!!」
駆「はい?」
ノラル「もうすぐ子供が産まれそうなんですっ! 助けてくださいっ!!」
駆「ええっ!? 子供っ!? それは大変だ! 近くの病院までおんぶします!!」
ノラル「ありがとうございます…」

そして、駆はノラルをおんぶして近くの病院まで向かった。その後、ノラルはその病院で無事ドラゴニュートを出産した。生まれたばかりのドラゴニュートは元気に泣いていた。その姿は、戦闘兵士などではなく、ただの男の子であった。駆はドラゴニュートを抱きかかえた。

駆「元気なお子さんですね、ノラルさん」
ノラル「は…はぃ…」

ノラルは話すのがやっとな状態であった。完全に衰弱しきっており、その声は今にも枯れ果てそうであった。

駆「…ノラルさん?」
ノラル「私は…もう駄目…です…その子は…託します…」
駆「ちょっと待ってください、ここまで来たんです、頑張ってくださいよ」
ノラル「その子の名前は…ドラゴニュー…トで…す…後は…よろし…く………」

そう言って、ノラルは息を引き取った。長く続いた基地での生活で体を極限まで衰弱させた状態で出産した為、体がもたなかったのだ。

駆「…ノラルさん…このドラゴニュートは俺が責任を持って育てます」

その後、ノラルの遺体と生まれたばかりのドラゴニュートを連れて駆は故郷であるエクレールの村に帰って来た。エクレールの村の実家では、妻の美麗と、息子の奏真、まだ幼い蒼乃が待っていた。

美麗「あらあなた、お帰りなさい、って、その棺桶と子供はどうしたの?」
駆「ちょっと訳ありでな…」
奏真「パパ~、その子は誰~?」
駆「えっと…」

駆は今までの事情を家族に説明した、その結果、この事実は駆と美麗、奏真だけの秘密になった。

美麗「そんな事が…あなたも大変だったわね…」
駆「本当に参っちゃったよ…」
美麗「で、この子はいいとして、こちらのご遺体はどうするの?」
駆「話聞いた感じずっと辛い思いをしていたらしいし、村で一番太陽の当たる場所へ埋葬してあげよう」
美麗「そうね、それならきっとこの女の人も喜ぶわ」

翌日、ノラルの遺体は村で一番太陽の当たる丘に埋葬された。

駆「ノラルさん、ドラゴニュートは責任を持って立派な男の子に育てます」
美麗「ところであなた、今更だけど、その子はあなたが妊娠させた訳じゃないわよね?」
駆「んな事しないよ!」
美麗「そう、なら安心したわ」
駆(でも、この子…普通の人間とは違った感覚を持っているな…一体何なんだ…)

そして、セイバークルーザー隊の面々は目を覚ました。

奏真「目が覚めたようだな、今見たのが全ての真実だ」
蒼乃「そんな…父さんと母さん、奏真兄さんだけはこの事実を知ってたなんて…」
奏真「お前は生まれてたけど幼かったから覚えてないようだな、蒼乃」
ラズ「これで分かったでしょ? 私とドラゴニュート姉弟、これが正しいのよ」
流羽「でも、私とお兄ちゃんはずっと一緒に暮らしてた、それを今更変えるなんて…」
カイト「なら、みんなで一緒に暮らせばいいじゃんか、それで丸く収まるだろ?」
奏真「そうそううまく行くと思うか? 今の俺達は敵なんだぞ?」
イオナ「でも、兄弟同士が戦うよりずっといいじゃないですか!」
奏真「なら聞くが、俺とラズが仲間になった程度でイフィニアドに勝てるのか?」
蒼乃「勝てるわ! その為に私達がいるんだから!」
ドラゴニュート「分かんねえよ!!」

ドラゴニュートは突然大声で叫んだ。そのドラゴニュートの叫びはさっきまで言い争っていた双方を沈黙させた。

ドラゴニュート「分かんねえよ…! いきなり真実を見せられてあのノラルって人が俺の本当の母親でラズさんが本当の姉ちゃんって言われても、全く分かんねえよ!!」
ファヴール「マスター…」
ドラゴニュート「今まで22年間ずっと父親は駆父さん、母親は美麗母さん、姉ちゃんは蒼乃姉ちゃんだった、でも、今更変えろとか無理だろうが!!」
奏真「じゃあ、お前はどうしたいんだ?」
ドラゴニュート「分かんねえよ…分かんねえよ!!」

そう言って、ドラゴニュートは森の方へと走って行った。

ファヴール「マスター!!」
アイラ「ドラゴニュートさん!!」

そのドラゴニュートの後をファヴールとアイラが追って行った。

奏真「あの女2人はドラゴニュートを追ったぞ…お前は追わなくていいのか?」
蒼乃「今のあの子に、何を言っても無駄でしょう、それより、よくも私の弟を混乱させてくれたわね?」
奏真「真実を伝えたまでだ、それとも何だ? 真実を隠蔽しろとでも言うのか? 地球統合軍は情報隠蔽が得意だな」
蒼乃「黙りなさい!! イフィニアド側についた男が今更何を言うの!!」

そう言って蒼乃は氷牙刀で奏真に斬りかかった。

奏真「甘いな、蒼乃」

奏真はエビルライトニングを放ち、蒼乃を吹き飛ばした。

蒼乃「がぁッ!!」
流羽「お姉ちゃん!!」

蒼乃はエビルライトニングをモロに食らい、地面に倒れ込んだ。

イオナ「かなり傷が深いです、こちらで何とか治療して見せます」
カイト「そっちは任せる! 俺はあのバカ兄貴をぶん殴って目を覚まさせてみる!!」
レイラ「こういう時は鉄拳制裁が一番いいもんね!!」
奏真「やれやれ…俺は戦いに来た訳じゃないんだがな…」

奏真は空から黒い雷を降らす呪文であるエビルドンナーを唱えた。カイト達に黒く激しい雷が降り注ぎ、カイト達を攻撃した。

カイト「ぐわああっ!!」
レイラ「きゃあああっ!!」
奏真「貴様らはそこにいろ、俺はドラゴニュートを追う」

そう言って奏真とラズはドラゴニュートが立ち去った方に歩いて行った。

カイト「くそっ! 体が動かねぇ…!!」
デスティニー「ドラゴニュート! 頼む…無事でいてくれよ…!!」

一方のドラゴニュートは、森の奥で悩んでいた。

ドラゴニュート「俺が…イフィニアドの兵士として生まれた命だったなんて…」
ファヴール「どんな命でも、マスターはマスターです」
アイラ「そうですよドラゴニュートさん! 自分の生き方は自分自身が決めるんですよ!!」
ドラゴニュート「でも…俺は多くの命の上に生まれた命…じゃあ、死んで行った他の命は…?」
アイラ「その命の分まで生きればいいじゃないですか!!」
ドラゴニュート「本当に…本当に俺なんかが生きていいの…?」
アイラ「あなたを生かす為に、ノラルさんは命を犠牲にしたんです! そのノラルさんの頑張りを無駄にしてはいけません!!」
ドラゴニュート「…分かったよ、俺は頑張って生きてみる」
???「そこまでよ、ドラゴニュート

そこで弓を向けていたのはエル姉だった。そのエル姉の表情は、いつもの優しい表情ではなく、氷の様に冷たい表情であった。

ドラゴニュート「エル姉、どうしたんだよ、何で俺に弓を…」
エル姉「あなたには、イフィニアドに所属してもらうわ」
アイラ「何を言っているんですか!?」
エル姉「気付かなかった? 私はイフィニアドのスパイよ」
ドラゴニュート「嘘だよな、エル姉、ずっと一緒に暮らして来たじゃないか…!!」
エル姉「関係ないわ、私の任務はあなたを立派な戦士にする事だもの」
ファヴール「そして立派な戦士になった今、イフィニアドに連れて帰るつもりですか」
エル姉「そうよ」
ドラゴニュート「じゃあ、あの時、村が襲われた時に助けてくれたのも、この時の為だったのかよ!?」
エル姉「そうよ、全部仕組まれてたのよ、私とイフィニアドにね」
ドラゴニュート「今までのエル姉の優しさは、全部嘘だってのかよ!?」
エル姉「当たり前じゃない、この任務を成功させたら大金が貰えるって言うからこうしていい人を演じてただけよ」
アイラ「そんな…酷い…」
ドラゴニュート「あんた…最低だよ!!」
エル姉「何とでも言いなさい、何とでもね!」

すると、奏真とラズも木陰から姿を現した。

奏真「俺達はこの時を待っていた」
ラズ「さあ、イフィニアドに行きましょう、今ならお友達も一緒に連れて行ってあげるわ」
ファヴール「マスター…」
アイラ「ドラゴニュートさん…」
ドラゴニュート「…ここで戦っても、勝てるかどうかわからない…俺は…どうすればいいんだよ…!!」
奏真「早く決めろ、ドラゴニュート、あと10秒以内に決めなければ、その女2人を殺す」
ドラゴニュート「…ッ!! もうやめろ…!! やめてくれええええええええええッ!!!!!!」

ドラゴニュートが叫ぶと、ドラゴニュートの周りに赤く強大なオーラが発生した。そのオーラは激しい風を発生させ、周りの木々を激しく揺らした。

奏真「何だこれは!?」
ファヴール「マスター!!」

ドラゴニュートの体は赤く輝き、最終的に光の爆発が発生した。

アイラ「キャアッ!!」
ラズ「これは何なの…!?」
エル姉「あれは…!?」

そこに現れたのは、漆黒の体と赤い瞳のドラゴンだった。体は人間より一回り大きく、巨大な翼を持っており、赤く吊り上がった瞳は恐ろしさを感じさせた。そして、その漆黒の体は、暗い夜に溶け込み、より漆黒さを増していた。

アイラ「このドラゴンは…」
ラズ「ドラゴニュート…なの…?」
奏真「まさか龍化するとは…!!」

すると、黒龍ドラゴニュートは奏真たちの方をギロッと睨みつけ、奏真たちに向かって強力な破壊光線を吐いた。

エル姉「嘘ッ…!?」

奏真とラズはすぐさま回避したが、エルラインは回避が間に合わず、破壊光線に巻き込まれて跡形も残らず消滅した。

アイラ「ドラゴニュートさん…」
黒龍ドラゴニュート「ギャオオオオオオッ!!」

すると、黒龍ドラゴニュートはアイラとファヴールを啄んで背中に乗せ、空を羽ばたいた。

ファヴール「マスター、どうするつもりでしょうか…」
アイラ「今はドラゴニュートさんの好きにさせてあげましょう…」
ファヴール「そうですね…」

黒龍になったドラゴニュートが羽ばたく様子を、蒼乃たちは地上から眺めていた。

蒼乃「あれってまさかとは思うけど、ドラゴニュートじゃないわよね…」
流羽「きっと悪い悪夢だよ、お姉ちゃん」
レイラ「そうよ、あれはきっと悪い悪夢よ、蒼乃」
蒼乃「そうであってくれると嬉しいわ…」
イオナ(あれはきっとドラゴニュートさんです…)
カイト(ドラゴニュートの奴…どうしちまったんだよ…)

黒龍になったドラゴニュートはそのままアグリッサ平原を横断し、北の方へ向かっていた。そして翌日の2100年12月19日、ウルトラ族の故郷のあるウルトラ大陸に降りた。

ファヴール「ここはウルトラ大陸ですね…」
アイラ「ドラゴニュートさん…」

すると、ドラゴニュートは元の姿に戻り、地面に倒れ込んだ。

ファヴール「マスター!!」
アイラ「ドラゴニュートさん!!」

ドラゴニュートは苦しみながら草むらの方へ向かって行き、そこで嘔吐した。

ファヴール「よほど今日の出来事がショッキングだったんでしょうね…」
アイラ「それに仲間だと信じていた人にも裏切られてしまいましたし…」

しばらくすると、ドラゴニュートがアイラたちの方へ戻って来た。

ドラゴニュート「心配かけてすまない、もう大丈夫だ」
アイラ「安心しました、でも、これからどうするんですか?」
ファヴール「救援が欲しければ私の通信システムを使えば行けますが…」
ドラゴニュート「悪いが通信システムは切っておいてくれ、しばらく姉ちゃん達の事も考えたくない、話題にも出さないでくれ」
ファヴール「了解です」
アイラ「それがドラゴニュートさんの為になるなら、分かりました…」
ドラゴニュート「しばらく俺達だけの旅になるけど、大丈夫か?」
ファヴール「問題ありません」
アイラ「私も大丈夫です」
ドラゴニュート「本当にすまないな」

すると、一人の人影がドラゴニュートに向かっていた。ドラゴニュートはさっと剣を抜き、その人影の方に剣を向けた。

メビウス「待ってください! 僕は君達と戦うつもりはありません」
アイラ「ウルトラマン…?」
メビウス「僕はウルトラマンメビウス、ウルトラ族の生き残りです」

こうして、ドラゴニュートとアイラ、ファヴールの3人はセイバークルーザー隊を抜け、3人で旅をする事になった。そして、3人はウルトラ族の生き残りであるウルトラマンメビウスと出会ったのである。